青木祐奈選手と「Young and Beautiful」

2023年11月24日に2023~24シーズングランプリシリーズ最終戦であるNHK杯が始まります。

この舞台に日本代表として出場するのが青木祐奈選手です。特に彼女のショートプログラム「Young and Beautiful」を見るのがとても楽しみです。今回は、青木選手が演じる「Young and Beautiful」の解釈を紐解いていきましょう。

青木祐奈選手の軌跡

「これまでの」彼女のキャリアハイは、間違いなく2014年全日本ノービス選手権(ノービスA)での優勝でした。

彼女はその時、本田真凜選手や白岩優奈選手などのライバルたちを大きく引き離し、フィギュアスケートファンからの期待を一身に集めました。推薦出場した全日本ジュニア選手権でも5位、チャレンジカップ優勝と、彼女の世代は有力選手が多数いましたが、その中心的存在でした。

私も彼女が優勝した2014年全日本ノービス選手権を現地で観戦していましたが、完璧な3Lz+3Loとキレのある演技を今でも覚えています。

しかし、ジュニアに上がると、苦しいシーズンが続きました。同世代の選手がジュニアグランプリシリーズで表彰台に上がり、ジュニアグランプリファイナル、世界ジュニア選手権、その後シニア転向とステップアップして活躍する姿を見せる一方で、青木選手は優れた結果が出せず苦しみ続けました。とくに、2019~20シーズンは怪我の影響でシーズン全休。比較的好調だった2021~22シーズンも全日本選手権でまさかのSP落ち、FSに進出することができませんでした。

しかし、彼女は決してあきらめませんでした。2022~23シーズンは環境を変えて復調。全日本選手権で7位入賞を果たし、長らく対象から外れていた強化選手に復帰することができました。

そして、グランプリシリーズNHK杯の開催国枠として、NHK杯へのアサインが決定しました。

Young and Beautiful

青木選手は大学4年生として、集大成のシーズンを迎えています。彼女が選んだショートプログラム「Young and Beautiful」は、自分自身の手で創り上げたもの。私はこのプログラムを初めて見たとき、青木選手が曲の歌詞に自らを重ねているように感じました。

「Young and Beautiful」は、曲名だけ見ると、若さと美しさの賛歌のように聞こえますが、実際にはその真逆です。「Young and Beautiful」は、年を重ね、若さの輝きを失った自分、「Young」も「Beautiful」もなくした自分を、それでも愛してくれるか?と愛する人に問いかける歌です。そして、今の自分でもあなたは私のことを愛してくれると信じています。

青木選手はノービス時代に顕著な成功を収めましたが、ジュニア、シニアへの進歩と共に、彼女は多くの困難に直面しました。しかし、このプログラムを通じて、青木選手は自己の変化を受け入れ、それを力に変えているように感じました。彼女の演技は、輝きを放っていたノービス時代のような「若さも勢いもないかもしれないけれど、上手いと言ってくれるか?昔よりも良い演技をしていると言ってくれるか?」と彼女の演技を見るものに問いかけているように感じます。

自ら振り付けを手がけたことで、彼女の心の中がその演技に如実に反映されているのではないかと思いました。

フィギュアスケート界で、青木選手は若手ではないかもしれませんが、彼女の演技には、若い時の勢いだけでなく、経験から得た深みがあります。彼女は自分の現在の姿を受け入れ、それを魅力的で力強い演技に昇華させています。

NHK杯での青木選手の「Young and Beautiful」は、彼女のキャリアのハイライトになる瞬間となり、観客に深い感動を与えることでしょう。彼女の問いかけに対して、私は心から「今のあなたが一番魅力的」だと答えたいと思います。

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この記事を書いた人

ただのフィギュアスケートファン。フィギュアスケート現地観戦し始めて10年前後。現在も日本国内の大会・アイスショーに出没しています。
このブログでは現地観戦の感想、日々感じたことをのんびり書いています。

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