大庭雅の演技がもたらす幸福感:なぜ彼女のスケートは特別なのか

フィギュアスケート界で、女子シングルのフィギュアスケーター大庭雅は特別な輝きを放っています。

通常5歳前後でフィギュアスケートを始める選手が多いなか10歳でフィギュアスケートを始めると、競技歴約5年でトップスケーターへと駆け上がります。2010年全日本ジュニア選手権で3位、同年全日本選手権(シニア)で8位入賞、続く2011年世界ジュニア選手権でも8位入賞を果たしました。グランプリシリーズへの出場経験もあります。

短期間でトップスケーターへと駆け上がったという点も、彼女がいかに特別なのかを物語る要素の一つです。しかし、最も彼女を特別たらしめているのは、29歳(2024年11月3日現在)になった現在も現役の競技生活を続行しているという点です。彼女は中京大学卒業後、東海東京フィナンシャル・ホールディングスに入社し、社業と競技生活を両立しており、2024年末には13回目の全日本選手権に出場します。フィギュアスケートは競技生命が短いスポ―ツであり、20代中盤はベテランと呼ばれます。また、日本では大学卒業する22歳で現役引退するのが一般的です。こうしたフィギュアスケート界の現状を鑑みると、大庭雅の存在はひときわ際立っています。

しかし、彼女の真価はこれだけだけではありません。彼女の演技には観る者に特別な幸福感を与える力があります。それはなぜでしょうか?この記事では、大庭雅の演技がどのようにして私たちに幸福感を与えるのか、その理由に迫っていきます。

目次

フィギュアスケートを心から楽しむ姿

フィギュアスケートを愛している

フィギュアスケートを観るとき、私たち観客は選手の表情や動きに込められた感情を読み取ります。大庭雅の演技には、その純粋さが特に際立って表れています。演技中に彼女の顔に浮かぶ笑顔、リンクを軽やかに駆け抜けるステップ、そして指先まで感情を込めて曲と一体になるその姿。これらが合わさって、「本当に彼女はフィギュアスケートが好きなんだな」という気持ちが自然に伝わってくるのです。

彼女がジャンプを成功させたときに見せる輝く笑顔や、失敗してもすぐに前を向いて次の動きに集中する姿勢、ステップシークエンスやコレオシークエンスで魅せる充実感溢れる表情には、フィギュアスケートを心から楽しんでいて、愛しているということが本当に伝わってきます。

現役生活を続けるということは楽しいことばかりではありません。嬉しいこと、楽しいことよりも、苦しいことの方が多いでしょう。最後には競技が嫌いになって現役生活を去る人も少なくないと思います。しかし、彼女は競技を始めたばかり、初めてスケートリンクに乗った時のような純粋に競技を楽しむ気持ちで演技をしているように見えるのです。

彼女は自らの演技で「幸せを届けたい」と語っています。彼女自身がフィギュアスケートを心から愛していて楽しんでいるからこそ、私たち観客も共に喜びと幸福感を感じることが出来るのではないでしょうか。彼女の演技は、スケートリンクを越えて観客に伝わり、会場が暖かな幸福感に包まれます。

挑戦を楽しんでいる

フィギュアスケートという競技を愛していたとしても、やはり競技会では緊張で固くなってしまうものでしょう。とくに、大庭雅は学生ではなく会社員として競技生活を続行しているため、1戦1戦の成績が翌シーズンも競技生活を続けることが出来るかどうかにかかわってきます。

会社員として競技生活を続行するのであれば、相応の競技成績を残す必要があるのです。普通ならば緊張で固くなってしまうような場面であるのに対して、彼女はその緊張する瞬間すら楽しんでいるように見えます。それが彼女の演技を特別なものにしているのです。

また、彼女は現状維持に留まらず、毎シーズン新しい挑戦を続けています。2020~2021シーズンから2022~2023シーズンまで3シーズンにわたって演じたショートプログラム”Send In The Clowns”では自身で振り付けを担当します。2023~2024シーズンのショートプログラム「情熱大陸」は、有名な曲ですがフィギュアスケートでほとんど使用されることがない曲。さらに中盤以降ひたすら踊り続けるという彼女にとっては新しい挑戦のプログラムでした。

そして、今シーズン、2024~2025シーズンのショートプログラムでは彼女の友人であり、世界選手権銀メダリストである宮原知子さんが振り付けた「水百景」を演じています。「水百景」でも彼女が今まで演じていなかった雰囲気のプログラムで、振り付けもバレエのような動きが複数入っており新しい挑戦をしています。

また、彼女は未だに練習でトリプルアクセルを着氷するなど、演技面だけでなく、技術面でも挑戦を続けています。28歳で迎えた2023年全日本選手権のフリースケーティングでは、演技冒頭に3サルコー+3トーループ(3S+3T)、3ループ+3ループ(3Lo+3Lo)に挑戦して着氷させた姿は、彼女の競技者としての意地とプライドを感じました。

29歳という年齢で社会人スケーターとして競技会に挑み続ける彼女は、年齢や環境を言い訳にせず、真剣勝負の場でチャレンジを楽しんでいる姿勢を見せてくれます。挑戦することの素晴らしさ、そして困難の中でも楽しむ姿勢が、彼女の演技をより幸福感に満ちたものにしているのです。

大庭雅の演技が与える幸福感とは?

好きだからこそ楽しめる、その幸福感

大庭雅の演技が私たちに幸福感を与える理由は、彼女自身が心からフィギュアスケートを愛しており、その喜びをリンク上で表現しているからです。彼女は、競技の厳しさやプレッシャーすら楽しむことで、その楽しさ、幸福感を観客と共有しています。その姿勢が彼女の演技を観る者に幸せを届けてくれるのです。

2024年末に13回目の全日本選手権出場を迎えます。彼女の幸せを届ける演技が、これから先も多くの人々に届くことを期待しながら、彼女の挑戦を応援し続けます。そして、彼女の挑戦をサポートしている東海東京フィナンシャル・ホールディングにも心から感謝したいです。彼女の挑戦する姿こそが、私たちにとっての希望であり、幸せの象徴です。

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この記事を書いた人

ただのフィギュアスケートファン。フィギュアスケート現地観戦し始めて10年前後。現在も日本国内の大会・アイスショーに出没しています。
このブログでは現地観戦の感想、日々感じたことをのんびり書いています。

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