全日本選手権におけるジュニア推薦問題点の提起

2023年全日本選手権 女子シングルでは、最大30人が競技参加するところ、28人での競技となります。その理由がジュニアからの推薦枠最大8枠あったところ、6枠しか使い切らなかったためです。

本件について新しい情報が出ていたので所見を記したいと思います。以下記事にも全日本ジュニア選手権終了時点でつらつら記しています。

目次

なぜ2枠余らせたのか

日刊スポーツ記事内に以下のような記載がありました。

11月の全日本ジュニア選手権ではシード選手の島田麻央(15=木下アカデミー)を含め、ジュニア女子から最大9人が推薦される可能性があったが、連盟内で実力や演技内容などを協議した結果、7人の推薦となった。

日刊スポーツ記事

つまり、推薦枠自体は残っていたが、8番目、9番目の選手の実力や演技内容が、全日本選手権出場に値するレベルでなかったとみなしたと思われます。私はこの説明について、以下2点の理由により問題があると考えています。

問題点
  • ジュニアで推薦されなかった選手は、シニアの全日本選手権予選会のボーダーラインを越えている
  • 推薦枠を使い切らないメリットと、使い切ったメリットを比較した際、使い切ったメリットの方が多い。

これらについて説明していきます。

シニアのボーダーラインを越えている

全日本ジュニア選手権において8番目だったのが岡万佑子選手(スコア163.71)、9番目だったのが中井亜美選手(同160.89)です。7番手である横井きな結選手(同166.08)と岡選手の差は約2点となっています。ここの2点差に全日本選手権出場にふさわしい、ふさわしくないボーダーがあったとは考えにくく疑問が残ります。

また、東日本選手権、西日本選手権を勝ち抜いて全日本選手権に出場するシニアの選手と比較すると疑問はさらに膨らみます。東日本選手権では、全日本選手権の出場ボーダーラインは142点、西日本選手権では146点です。全日本ジュニア選手権において実力が足りないと判断された選手よりも、スコアとしては下になります。ジュニアではフリースケーティングで要素が1つ少ないことを考えると、差はスコア以上に大きいものと思われます。

シニアのボーダーラインを悠々と越えているにもかかわらず、実力や演技内容を鑑みて推薦しないというのは釈然としません。

スクロールできます
PL選手名所属SPFSPoints
1.青  木  祐  奈  日本大学11179.40
2.江  川  マリア  明治大学22163.72
3.石  田  真  綾  立教大学63151.62
4.三  枝  知香子  日本大学134143.37
5.本  田  真  凜  JAL45142.12
東日本選手権リザルト
スクロールできます
PL選手名所属SPFSPoints
1.山  下  真  瑚  中京大学11181.60
2.三  宅  咲  綺  岡山理科大学22179.03
3.清  水  咲  衣  木下アカデミー35161.89
4.鈴  木  な  つ  関西大学44161.88
5.大  庭      雅  東海東京FH73159.87
6.荒  木  菜  那  中京大学58146.30
7.白  岩  優  奈  関西大学66146.21
西日本選手権リザルト

推薦した方がメリットが大きい

推薦枠の活用は、若い才能を発掘し、育成する大きな機会となり得ます。世界でもトップクラスの選手が揃うシニアの全日本選手権に出場することで、ジュニアの選手は勉強できる非常に良い機会となります。今回のように推薦枠を使用しない決定は、潜在的な才能を見逃すリスクを伴いますし、ジュニアの選手が成長するための機会を1つ逃すことになります。

一方で、推薦しなかった際のメリットとして想定されるのは、競技時間が短くなる(それでも女子ショートプログラムで15分程度でしょうが…)ということくらいです。推薦されなかった選手の奮起を期待したという個ともあるかもしれませんが…。

以上のように考えると、今回の判断は目先の利益にとらわれて、将来的には損をするような決定だったように思われます。今となってはどうしようもないですが、対応が改善されること、推薦されるための基準を明確化することを期待するばかりです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ただのフィギュアスケートファン。フィギュアスケート現地観戦し始めて10年前後。現在も日本国内の大会・アイスショーに出没しています。
このブログでは現地観戦の感想、日々感じたことをのんびり書いています。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次