2022~23シーズンの個人的今季ベストプログラム第2段です。今回は11~15位のプログラムについて紹介します。
個人的今季ベストプログラム
第15位
・区分:男子シングル・ショートプログラム
・プログラム名:マイケルジャクソンメドレー
・ベスト演技:国別対抗戦
先日、「ジュンファンの絶対領域」というとんでもないワードを産み出してしまったジュンファンですが、今シーズンは特に後半に強さを見せつけました。彼はこれまで綺麗目のプログラムのイメージが強かったですか、マイケルジャクソンメドレーではかっこよさが際立ちました。このプログラムもまた、彼の新しい一面を引き出した、なおかつ非常に合っていたという点で素晴らしいプログラムでした。
このプログラムで5億人はリアコが増えたでしょう。3Aの前のみ空白があるんですが、それ以外は常に躍り続けておりマイケルジャクソンの世界観を完璧に表現できています。
第14位
・区分:女子シングル・ショートプログラム
・プログラム名:「インターステラー」より「Cornfield Chase」「Tick-Tock」
・ベスト演技:テストスケート
初めてこのプログラムを見た時に強い衝撃が走りました。当初は女子シングル史上最高のプログラムでないかとも思いましたが、この順位とした理由は、シーズンを経るにつれて彼女の体の使い方がこの曲を表現すべき動きとは異なる方向に変わっていったからです。
プログラムを滑り込むにつれて必要以上に体を動かしすぎているように感じました。必要以上に体に力が入り、緩急をつけようとしているのです。このプログラム初披露だったテストスケートでは、3Aこそありませんでしたが、音に寄り添った演技が出来ていたためベスト演技としました。
冒頭のモールス信号のマイムは、ありそうでなかったとても斬新な発想でした。ちなみに、プログラム最後は再びモールス信号を送るようなマイムで演技を閉じます。過去に氷面鏡で論じたエテリ組が使用するマイムの1つである「物語表現としてのマイム」を活用しているといえるでしょう。
第13位
・区分:女子シングル・ショートプログラム
・プログラム名:戦場のメリークリスマス
・ベスト演技:世界選手権
このプログラムはドリームオンアイスが初披露となりました。私はこのプログラムが初披露されたあの日に、新横浜スケートセンターでこのプログラムの初披露を見つめていました。三原舞依の名前がコールされ、戦場のメリークリスマスの最初のメロディーが流れ始めた時「あ、これ神プロじゃん」と確信しました。そしてその時の私の確信が間違っていなかったことを彼女は証明してくれました。
戦場のメリークリスマスは1つの曲で完結させるにはプログラムの展開が難しいのではという思いが長年ありましたが、間違いなく三原選手の戦場のメリークリスマスは、戦場のメリークリスマスの1つの完成形と言えるでしょう。儚げで美しい戦場のメリークリスマスでした。
第12位
・区分:男子シングル・フリースケーティング
・プログラム名:G線上のアリア
・ベスト演技:グランプリファイナル
G線上のアリアは有名な曲ですがフィギュアスケートであまり使用される曲ではありません。男子シングルではその傾向がとくに顕著に見られます。宇野選手がG線上のアリアを滑ると聞いた時はどうなることかと思いましたが、彼は良い意味で私の想像を裏切ってきました。
- 柔らかい ⇔ 鋭い
- 重い ⇔ 軽い
という尺度でスケートの質を見ると、彼のスケートは鋭く重いスケートになると思いますが、彼の鋭く重いスケートがG線上のアリアの重厚感と非常に合っていました。G線上のアリアは宇野選手の新たな路線を切り開いた非常に素晴らしいプログラムだと言えるでしょう。
第11位
・区分:女子シングル・フリースケーティング
・プログラム名:ハンガリー狂詩曲
・ベスト演技:愛知フィギュア
現役引退のシーズンに選んだ最後のプログラム「ハンガリー狂詩曲」は、他の人があまり選ばないような曲を好む、非常に横井選手らしい選曲でした。
このプログラムはコンビネーションジャンプを3本全て、もしくは2本を後半に跳ぶんですが、ジャンプの基礎点増を狙っているというよりは、後半にコンビネーションジャンプを跳んだ方が曲に合っているからそうしていると思わせるものがありました。スピンステップジャンプ全ての要素で「ハンガリー狂詩曲」を表現してくれました。
ベスト演技とした愛知フィギュアでは、緊張感もあり、最後に転倒もありましたが、彼女の意地とプライドを感じる素晴らしい演技で現役生活を締め括ってくれました。これからの活躍も期待しています。本当にお疲れさまでした。
コメント