はじめに
ISUが2022~23シーズンにおけるチャンピオンシップ史上初の快挙達成者リストを公開しました!
チャンピオンシップなので、四大陸選手権、ヨーロッパ選手権、世界選手権の3大会を対象として、所属国において史上初の快挙を達成したスケーターがまとめられています。
せっかくなので、このリストを見ていきましょう。
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史上初の快挙達成者リスト
チャ・ジュンファン(韓国)
ジュンファン選手は、2023年世界選手権で銀メダルを獲得!
この結果により、韓国男子選手史上初の世界選手権メダリストになりました。
韓国は元々有力なフィギュアスケーターが台頭する国ではありませんでしたが、2010年バンクーバー五輪金メダリストのキム・ヨナさん台頭後、実力のある女子シングルのスケーターが定期的に出てきていました。一方で男子シングルのスケーターは、女子シングルと比較するとあまりスケーターが育っていない印象がありました。
そういった意味では、女子のキム・ヨナさんが韓国女子の草分け的な存在となったのと同様に、ジュンファン選手もまた韓国男子の草分け的な存在になったと言えるでしょう。
2018年に韓国男子史上初のグランプリシリーズメダリスト、グランプリファイナル進出、グランプリファイナルメダリストと3つの史上初を達成。2022年四大陸選手権では韓国男子史上初の優勝を達成しましたが、史上初のメダリストでもありました。そして、今回は韓国男子史上初の世界選手権メダリストとなりました。いよいよグランプリファイナル、世界選手権のタイトルを狙うところまで上がってきたと言えるでしょう。来シーズンの活躍も楽しみです!
三浦璃来・木原龍一組(日本)
三浦璃来・木原龍一組は、2023年四大陸選手権優勝、世界選手権優勝!
この結果により、日本ペア史上初の四大陸選手権・世界選手権のタイトル獲得者となりました。
また、今回はISUチャンピオンシップが対象のためISUの投稿には記載がありませんが、2022年グランプリファイナルの優勝者であり、年間グランドスラムも達成しています。これらも日本ペア史上初の快挙になります。年間グランドスラムについては、ペアだけではなく日本勢史上初の快挙です!
競技成績としては、2022~23シーズンは最高の結果となりましたが、演技自体はまだまだ伸びしろがあります。2人は2030年のオリンピックにも言及するなど、現役の選手生活をしばらくは続ける見込みです。歴代トップとなるペアになることを期待しています。
アナスタシア・グバノワ(ジョージア)
アナスタシア・グバノワ(スーパースター)(ジョージア)は、2023年ヨーロッパ選手権優勝!
この結果により、ジョージア女子選手初のシニア チャンピオンシップタイトル獲得者となりました。
彼女のスケート人生が容易ではなかったことは、多くのフィギュアスケートファンがご存知でしょう。グバノワ選手は元々ロシア出身。幼いころから神童として知られていました。2016年ジュニアグランプリファイナルでは銀メダルを獲得(この時の金メダルがアリーナ・ザギトワ、銅メダルが坂本花織)。ジュニアの世界記録も2度更新しました。一方で、彼女の持つ圧倒的なポテンシャルの高さをなかなか試合で発揮出来ないことが増え、群雄割拠のロシアにおいて少しずつ影が薄くなり、国際大会への派遣も減っていきました。
そんな状況下において、2021年に代表国をロシアからジョージアに変更。この決断が彼女のフィギュアスケート人生を切り開きました。北京オリンピック出場、2022年世界選手権6位、そして2023年ヨーロッパ選手権での金メダルです。フリースケーティング演技後にリンクに倒れこんで涙を流した姿、キス&クライで「1位」の表示を見たときの彼女の姿は涙を禁じ得ないものがありました。
ジョージア移籍後の2シーズンは、実はシーズン前に足の手術を行った上での競技会参加でした。まだまだ彼女の実力はこんなものではないでしょう。来シーズンの活躍が非常に楽しみです。
サラ・コンティ ニッコロ・マチー組(イタリア)
サラ・コンティ ニッコロ・マチ―組は2023年ヨーロッパ選手権優勝、2023年世界選手権銅メダルを獲得!
この結果により、イタリアペア史上初のヨーロッパ選手権のタイトル、世界選手権のメダリストとなりました。
驚くべきはこのペアが2021~22シーズンまでグランプリシリーズでのメダル獲得経験もなかったということでしょう。世界選手権への出場経験もなく、ヨーロッパ選手権も7位の成績しかありませんでした。決して目立つ存在ではなかったにもかかわらず、主役の一人(というより一ペア)に躍り出たということは驚異的な成長速度です。来シーズンもこの成長速度が続くのでしょうか?非常に楽しみです。
ルナ・ヘンドリックス(ベルギー)
ルナ・ヘンドリックス選手は、2023年ヨーロッパ選手権で銀メダルを獲得!
この結果により、ベルギー女子史上初のヨーロッパ選手権メダリストになりました。
他の4人(組)と違うことは、ヘンドリックス選手にとってこの2023年ヨーロッパ選手権での結果が決して喜ばしいものではなかったということでしょう、2022年世界選手権で既に銀メダルを獲得していましたし、同金メダルを獲得している坂本花織はヨーロッパ選手権出場資格がないため、ヘンドリックス選手が大本命と見られていました。しかし、結果として、ショートプログラム・フリースケーティング共にやや精彩を欠く演技となり、メダルこそ獲得したもののタイトルを逃しました。
一方で、グランプリファイナル、世界選手権でもメダルを獲得しており、必ず優勝・メダル争いに入ってくる選手でもあります。来シーズンこそ悲願の世界選手権・ヨーロッパ選手権タイトルを獲得できるでしょうか。非常に楽しみです。
おわりに
今回の記事では、ISUのチャンピオンシップ史上初の快挙達成者リストを紹介しました。
この5人(組)は所属国の歴史を切り開いたという点で功績は大きいです。彼ら・彼女らが来シーズン以降もさらに活躍し続けることを、そして、彼ら・彼女らに続く後輩スケーターが誕生することを祈っています。
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