浅田真央アイスショーEverlasting33に行ってきたよ!
今回は、浅田真央さんのアイスショー「Everlasting33」に行ってきた感想をつらつらと語りたいと思います。
浅田真央さんのアイスショーは、「浅田真央サンクスツアー」、「BEYOND」に続いて今回が3作目。過去作はいずれも全国を長期間巡回するツアーでしたが、今回は立川公演のみで2週間・15公演という短期間での公演となりました。私は過去2作品とも10回以上観戦しましたが、今回は泣く泣く4公演のみに…。こればっかりは公演数が少ないので仕方ないですね。
真央さんのアイスショーは毎回期待を大きく上回ってきていましたが、今回もその期待をさらに上回る驚きと感動の連続でした!例えるのであれば、まるで最高級チョコレートのアソートメントのように、素晴らしいプログラムが次々と繰り広げられ、その伴奏が生オーケストラによる演奏という非常に贅沢なアイスショー。誰も見たことがないアイスショーでした。
圧倒的な新しさ
新しさが光るプログラム
まず、なんといってもこのアイスショーの「新しさ」です。私の中のフィギュアスケートプログラムの評価軸として、いかに新しいか。そして新しいにもかかわらず、長年そのプログラムを実施していたかのように非常に合っているか。このスケーターがこのプログラムを滑る必然性があるかというのがあります。この3点を意識してフィギュアスケートを見ています。
この評価軸に基づくと、「Everlasting33」は本当に新しい!にもかかわらず、どのプログラムも非常に合っている。そして、このスケーターやゲストダンサーの方々がプログラムを滑る必然性があるという完璧なアイスショーでした。
個々のプログラムについては、また別の機会で触れたいと思います。
全曲オーケストラによる生演奏
全曲がオーケストラによる生演奏で、これは初めての体験でした。生演奏の迫力と臨場感が、フィギュアスケートの演技と完璧に融合していて、その難しさを感じさせないほどに見事な演奏でした。
オーケストラの方が演奏している位置からはリンク上の様子を見ることが出来ません。にもかかわらず、オーケストラによる音楽はスケートやダンスと完全にシンクロしていました。私が観戦した4公演の全プログラムのうち、いずれも音楽とスケーター・ダンサーのスケート・ダンスがずれたことはありませんでした。
ところで、ウェストサイドストーリーではオーケストラの方々が指パッチンやマンボ!と叫んでいたのが印象的でした。オーケストラになるには楽器が演奏できるだけではダメなんですね…。新しい学びでした。
神秘的なエアリアルの使用
今回は劇場型アイスショーということで、浅田真央さんと柴田嶺さんの「タイスの瞑想曲」ではエアリアルが使用されていました。これが本当に神秘的で美しかった。空中でのパフォーマンスと氷上のスケートがこんなにも調和するなんて、まるで夢の中にいるような気分にさせてくれました。
エアリアルのシーンは、ライトの演出とも相まって、幻想的な雰囲気を作り出していました。最後逆さになった柴田さんが真央さんを抱きかかえてが空中で回転して浮かび上がっていく姿は、まるで天使が舞っているかのようで、非常に美しかった。
一方で、柴田さん曰く「国の宝」である真央さんがこんなに危ないことをしていることに対する恐怖も同時にありました。真央さん、柴田さんの徹底したプロ意識を持ってすれば、絶対に万が一なんてことは起こりようがない。けど、公演中の緊張で普段起きないことが起きてしまったら?タイミング悪く地震が起きたら?なんて悪いことばかり頭を過ぎりました。すごーく美しく幻想的だったんですが、私の心臓が持たないので危ないことはしないでいただけると大変助かります…。
ゲストダンサーとのコラボ
今回はゲストダンサーとして、プロダンサーのSeishiro先生とタップダンサーのHideboH先生とのコラボレーションが特に印象的でした。浅田真央さんとSeishiro先生とのコラボでは、1曲目の「トッカータとフーガ」で陸上のダンスと氷上のスケートが見事に融合していて、その対比がとても新鮮でした。ただ、新鮮とは言っても陸上と氷上のダンスが融合する必然性があり、芸術に昇華された素晴らしい演技でした。
2曲目はSeishiro先生の「ザナルカンドにて」のソロ演技。こちらも非常にエモーショナルで訴えかけてくるものがありました。3曲目では「地球儀」を、Seishiro先生と浅田真央さんで陸上ダンスでのコラボ。こういった企画を見ると、普段の私であればフィギュアスケートを見に来ているんだから滑ってほしいと思うんですが、ここまで魅入ってしまうような演技をしてくれるのであれば話は別です。2人の天才がそれぞれの道を歩んでいくストーリーが感じられました。
HideboH先生とのコラボは、とくに田村岳斗さんとの「アートオンアイス」でのコラボが印象に残りました。スケートとタップダンスで「アートオンアイス」を表現するという発想が新鮮で、タップダンスの音を楽器のように使用していたのも印象的でした。音楽とダンス、そしてスケートが一体となったパフォーマンスは、まさに芸術そのものでした。こんなコラボをどうやったら思いつくんだろうと感心するばかりです。
「アートオンアイス」はあのエフゲニー・プルシェンコさんが演じた伝説のプログラム。そして、終盤に見せてくれたステップはアレクセイ・ヤグディンさんのものでした。この2人の仲の悪さを考えるとそこを混ぜるのは少し面白くもあるんですが、2人の天才と同じ時代を戦った田村さんがこのプログラムを演じているという点もとても興奮しました。
メンバー全員のソロ演技が素晴らしい
今回のショーでは、メンバー全員のソロ演技が特に印象的でした。前作「BEYOND」からスケーター全員が継続していたので、どんなスケーターか既に分かっているし、それぞれのキャラクターに合ったソロプログラムが与えられていました。「全員、これを現役時代にやれ!」と思うほどにピッタリで、見ていて感動しました。
先日、スケーターが行っていたインスタライブによると、やりたい曲を自ら提出した人と、真央さんお任せにした人がいるようです。どちらのケースにしろ、プログラムを選んだ人は演出家として天才だと思いました。
気になった点
見えにくい座席が多い
もちろん、素晴らしいショーだったのですが、気になる点もいくつかありました。まず会場の構造上、見えにくい座席が多かったことです。特に3階席はかなりの見切れが発生していたように感じました。私の体感では、20%くらいはステージが見えなかった感じです。チケット販売時に見切れる箇所があると記載はあったのですが、ここまで見切れるなら「見切れ席」という名前にした方が良かったかもしれませんね。
実際、周囲でトラブルになっている人もいました。まあ、これは前のめりを注意された人が逆ギレしていただけなので、100%逆ギレしていた方が悪いんですが…。ローズシートやS席はチケット代2倍にしても妥当な価格だと思ったので、その分B席やC席のチケット代を下げても良かったかもしれません。
これは、あまり評判が良くない立川ステージガーデン側の問題という側面も強かったと思います。ただ、見えにくいけど…というお詫びとクリアファイルが座席に置いてあってさすがの心遣いだなと感心しました。
3階C席からの眺め。リンクは見えない箇所が全体の2割くらいあり、1階アリーナ席でのタップダンスも見えない箇所が多い。
大衆向きではない
真央さんがやりたいことや芸術性を追求し続けた結果、見る人を選ぶアイスショーになっていたように感じました。大衆向けするのは過去作の「BEYOND」や「浅田真央サンクスツアー」だと思うのですが、今回は本人も「2週間だけのプレミアムなアイスショー」と話していたように、対象とした観客が大人であり、子供は今回は対象として想定されていなかったんだろうなと感じました。
芸術性を追求しすぎた結果として、アイスショー自体が少し難解で、見る人を選ぶ内容になっていたのは否めません。ただ、これは真央さんが意図的に狙ったものだと思いますし、大人向けのプレミアムなショーとして非常に高い完成度を持っていたと思います。大人の観客が深く楽しめるものとなっていました。
プログラム時間が短い
最後に、最高級チョコレートのアソートメントのようなアイスショーと最初に言いましたが、もっと腰を据えて全プログラムを見たかったです。端的に言うと、全プログラムの時間が短かったんですよね。特に前半は2分弱で終わって次に進んでしまう感じでした。私はこの曲を演じるスケーターをもっとじっくり見たい!!!と思って見ていました。「BEYOND」で白鳥の湖やカルメンを大作で演じていたのがすごく良かっただけに、もう少し長く演じてほしかったです。チョコレートのアソートメントではなく、ケーキの盛り合わせを食べたい。
まとめ
これらの気になる点はあったものの、これまでの作品を大きく上回る過去にないアイスショーでした。
このアイスショーのテーマは「永遠の愛」でした。名前の「Everlasting33」という名前からもわかるように「永遠」がキーワードでした。私は「永遠」はないと思っている人間です。始まりがあれば終わりがある。永遠などないと。真央さんが「永遠」と口にすればするほど、「Everlasting33」の終わりが意識づけられ、「永遠」と「終わり」のコントラストが際立っているように感じました。これは私の考えすぎだと思いますが。
いずれにしても、2週間で終わってしまうのが本当に勿体ないくらい素晴らしいアイスショーでした。
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