2024年グランプリシリーズ第4戦日本大会であるNHK杯国際フィギュアスケート競技大会に行ってきました!会場の雰囲気や選手たちの公式練習・演技を現地で見て感じたこと、観戦環境について感じたことを記しておきます。
観戦環境
会場はそこまで寒くなかったです。防寒対策として膝掛けも一応持って行ったけれど、なくても大丈夫だったかもしれません。むしろ競技終了後に外に出た時のほうが寒く感じました。会場である国立代々木競技場第一体育館で現地観戦時に「寒い!」と感じたことが今回以外でもほとんどないため、代々木第一体育館はそこまで寒くない会場と認識して良いかもしれません。
今回、アイスクリスタルの座席を利用したため、一般よりも早く入場できて、男子シングルの公式練習も見ることができました。一般の座席だと女子シングルの公式練習しか見ることが出来ません。
せっかくなので競技が行われる日は開場と同時に入場し、朝9時台から競技が終了する21~22時頃まで会場にいました。さすがに半日以上会場にいるのは疲労感はとんでもなかったですが、それでも充実感のほうが大きかったです。公式練習は曲かけ練習を見ることが出来る、ジャンプ練習を見ることが出来るというメリットが非常に大きいです。
印象的だったフードや物販
選手の演技以外で特に印象に残ったのは、選手コラボのフードメニューです。坂本花織選手のスコーン、りくりゅうペアのご馳走ティラミスドリンク、鍵山優真選手のユーマカロン、牛骨スープ、トマチーサンドと、メニューがとても豊富でした。どのメニューもとても人気で、大行列ができ、完売御礼のものばかりでした。これは今までになかった新しい取り組みでしたが、とても良かったですね。友野一希選手や三浦佳生選手、佐藤駿選手らも飲食物を扱う企業がスポンサーについているので、今後も同じようにコラボメニューを提供してくれたら良いですね。
また、鍵山優真選手のグッズ売り場もあり、まだ持っていなかったグッズを全て購入できました。入場時にはカルビーから豆のお菓子が配られていて、入退場を繰り返すだけでお菓子が増えていくという毎度恒例のシステムも良かったです。
大活躍の宮原知子理事
先日、日本スケート連盟の理事に就任した宮原知子さんが大活躍した大会でもありました。
NHKの放送における女子シングルの演技解説を行い、日本スケート連盟の理事として男子シングルの表彰を行い、休憩時間には大会アンバサダーとして観客にプレゼントを贈ったり、マナー啓発の動画に登場したり。最後には、エキシビションにも登場して素晴らしい演技を披露しました。1人何役こなすんだともいう大活躍っぷりでした。
もしかしたら今大会最もハードだったのは彼女かもしれません。少しお休みが出来ると良いですね。
感動した選手たちの演技
大会としてはとても見ごたえがありました。もちろん試合なので全員が実力を発揮できるわけではありませんが、それでも全体的にレベルの高い演技が多かったです。
特に印象に残ったのは、男女シングルの銅メダリストとなった青木祐奈選手と壷井達也選手です。2人にとってグランプリシリーズ初のメダルであり、彼らの人生を変えるであろう瞬間に立ち会えたことは非常に幸せでした。一方で、やや演技内容の課題も残ったように感じますが、このあたりについては後程別の記事で触れていきたいと思います。
また、全カテゴリにおける優勝者の演技は非常に素晴らしかったです。
男子シングル優勝者の鍵山優真選手は、今回今までにないオーラのようなものを感じました。ショートプログラムと当日の公式練習では、余裕がある中でも自らに集中しきったオーラがあり、絶好調でミスする気配が全くありませんでした。
しかし、フリースケーティングでは全く異なる雰囲気で、公式練習でもミスを連発し、曲かけ練習では最後のジャンプである3F+3Loをミス。その後、ステップシークエンス、フィニッシュ時のポーズすら飛ばしてジャンプの練習に集中する姿は、自分に対する怒りすら感じられるほどでした。本番でもその凄味が感じられ、ジャンプを修正して最低限のミスに抑えたのはさすがでした。新たな彼の一面を見ることができた気がします。
女子シングル優勝者の坂本花織選手の演技は圧巻でした。北京オリンピックシーズンの途中からロシア勢が国際大会に出場しなくなり、その翌シーズンから段階的にシニア年齢引き上げが行われていることもあり、ここ数年は坂本選手の一強状態が続いています。そのような状況下でもモチベーションを保ち続け、新しい挑戦を続ける姿勢には驚異的なものがあります。
特にフリースケーティングプログラム「シカゴ」では、彼女にとって鬼門である3Lzを2本跳ぶという挑戦だけでなく、プログラム全体が非常にハードで、休む暇がなく常に動き続ける内容となっています。常にステップを踏みながら、その合間にジャンプやスピンが次々に繰り出されるプログラムとなっており、どのステップがステップシークエンスで、どのステップがコレオシークエンスで、どのステップが要素外の繋ぎなのかが全くわからないほど。これを完璧にこなした坂本選手には本当に感服しました。
アイスダンスではチョック&ベイツ組の演技が別格でした。ただ、フリーダンス「Take Five」で4分の5拍子の音楽に合わせて観客が2拍子で手拍子をしていたのは驚かされました。アイスダンスでは音取りが非常に重要で、手拍子が逆に妨害になってしまわないか心配になりました。ペアでは、メチョルキナ&ベルラワ組がりくりゅうペアを抑えてサプライズ優勝を果たしました。ジョージアのペアでグランプリシリーズ初優勝を飾り、私はジョージアガチ勢なので会場で「ジョージア最強!」と叫んでいました(叫ぶな)。
エキシビションでの特別な時間
エキシビションでは、北京オリンピック団体戦のメダル披露が行われ、素晴らしい時間となりました。オリンピックでは表彰式の機会がなかったため、今回この機会が与えられたのはとても良かったと思います。選手たちが団体戦で着用していた衣装で登場したのもとてもエモーショナルでした。
そして、ショートプログラムとフリースケーティングで天国と地獄を見た三浦佳生選手のエキシビションが凄まじかったです。2シーズン前のフリースケーティングプログラム「美女と野獣」を、かつてのジャンプ構成と要素を全く削ることなく披露しました。今シーズンは左太ももの痛みを抱えて競技に臨んでおり、いくら演技当日はアドレナリンで痛みを感じないと言っても当日までの練習が十分にできなかったりといった影響はあったと思います。それでも、そうした言い訳は一切せず、「美女と野獣」を魂を込めて演じた姿には、このままでは絶対に終わらないという彼の強い気持ちが見えました。
エキシビションでは競技のような6分間練習がないため、リンクに出る前は少なくとも2時間以上スケートリンクに乗っていなかったはずです。演技自体は直前の6分間練習がないため当然ミスが見られましたが、絶対に年末の全日本選手権では完璧な演技で優勝争いに入ってくるだろうと感じさせられた演技でした。この演技で彼は観客からの投票で選ぶベストエキシビションプログラム賞に選ばれていました。
運営面での改善要望
全体的に運営や企画、選手の演技は素晴らしかったものの、アナウンスのミスが非常に多かった点は改善してほしいと感じました。特に、演技直前に選手の名前を間違えたり、シーズンベストではないのにシーズンベストと言いかけて選手に否定されたり、さらには「11番滑走」の選手に「11位」とアナウンスするなど、許されるレベルを超えるミスがありました。優勝争いをしている選手に対して「11位」とアナウンスするのはさすがにありえません。これらの問題が今後の大会で改善されることを強く願います。
まとめ
NHK杯の現地観戦は、テレビでは感じられない臨場感や緊張感、普段見ることが出来ない選手の練習を見ることが出来る貴重な機会でした。選手たちの素晴らしい演技、会場でのファンの一体感、そして疲れも忘れるほどの充実感——すべてが特別な思い出となりました。また来年も現地で観戦して、この感動を味わいたいと思います。
また来年も大阪でお会いしましょう!