浅田真央アイスショーBEYONDはなぜ成功したのか

フィギュアスケーター浅田真央さんが座長を務めたアイスショーBEYONDが、大成功で2023年7月17日に千秋楽公演を迎えました。この記事では、なぜBEYONDが成功したのか、その要因を考察していきます。

目次

来場しやすさ

BEYONDでは、浅田さんの前作である「浅田真央サンクスツアー」において、非常に好評だったチケット販売方法を踏襲していました。

  • チケット価格の安さ(通常のアイスショーの半額)
  • 全国を回り、開催地域を優先したチケット販売

過去のBEYOND紹介記事においても触れましたが、BEYONDのチケット価格は通常アイスショーと比べると破格の安さです。「浅田真央サンクスツアー」と比較すると、全体的に3000~4000円程度値上げしている印象がありますが、そもそも設備が圧倒的に豪華になっているので値上げの理由もわかりますし、何より値上げ後の価格でも破格の安さを保っています。

また、BEYONDでは全国を回って公演を行いましたが、開催地域を優先したチケット販売を行っていました。まずは、開催都道府県の住民限定の抽選販売、次に開催都道府県が含まれる地域(関東・近畿等)の住民限定の抽選販売、これらを行ったうえで居住地の制限がないチケット販売を行っていました。

これら仕掛けにより、普段フィギュアスケートに馴染みのない人でも来場しやすいアイスショーとなっていました。

他ジャンルからの援用

BEYONDはフィギュアスケートの振付師のみならず、一部ではダンスの振付師に振り付けを依頼していました。その代表的なプログラムは幻想即興曲でしょう。

幻想即興曲はSeishiro氏に振り付けを依頼していますが、彼は氷の上での振り付けは初めてだったとのこと。コンテンポラリーな振り付けが非常に印象的でした。そして、スケート靴がリンクの氷を削る音、動きによって衣装が空気を切り裂く音も表現として落とし込まれており、従来のフィギュアスケートのプログラムでは見られない非常に芸術性の高いプログラムとなりました。

また、名作と名高いシェヘラザード、白鳥の湖はともにバレエ演目をオマージュしつつ、氷上でこれらを表現するために改良がなされたプログラムとなっています。

シェヘラザードでは「ゾヘイダと金の奴隷の踊り」というバレエの有名なシーンを表現しています。浅田さん演じる王の愛妾ゾヘイダと、柴田さん演じる美しい奴隷が王の不在の間、身分を超えて戯れている様子を表現します。

白鳥の湖では、悪魔ロックバルト(田村さん)によって白鳥の姿に変えられてしまったオデット姫(浅田さん)と、姫を救うため愛の告白をしようとするジークフリート王子(柴田さん)。そして悪魔ロックバルトの娘であるオディール(浅田さん)によって、バレエ演目である白鳥の湖を表現しています。

バレエ演目を氷上で再現するという従来の日本のアイスショーでは見られなかった試みに成功しており、多くのスケートファンが「おかわりBEYOND」「Be4度」するということになりました。

映像の活用

BEYONDでは、リンク内に大型モニターを設置して、プログラムに合わせた映像が投影されていました。例えば、白鳥の湖では、真夜中の湖の映像を投影して、キャスト演じる白鳥たちが夜の湖で羽ばたこうとしている姿を表現し、ラベンダーの咲く庭ででは、ラベンダー畑を映像を投影して、ラベンダー畑を舞台とした2人の愛し合う男女の姿を表現しました。

映像を活用することで、観客はキャストが表現する世界観に没入することがより容易になり、普段からフィギュアスケートを見ている人もそうでない人も、まるで映画や舞台を何度でも見るかのように「何度でも見たい!」と思わせるようなアイスショーとなりました。

全キャストが主役

大前提として、浅田さんの前作である「浅田真央サンクスツアー」も素晴らしいアイスショーでした。当時は、このアイスショーより優れたアイスショーはないのではないかと思うほどでした。

「浅田真央サンクスツアー」は、「浅田真央が全国に感謝を届ける」というキャッチコピー通り非常に温かみのあるアイスショーでした。一方で、「浅田真央が全国に感謝を届ける」というキャッチコピーからもわかるように、浅田真央に焦点がかなり当てられていたアイスショーでした。

BEYONDでは開幕と同時に浅田さんの「これは、私たちの進化の物語」というアナウンスが入ります。「私」ではなく「私たち」、浅田さんだけでなくキャスト11人全員が壁を、自らの限界を乗り越えていく物語こそがBEYONDなのだと思います。キャスト11人全員が主役のプロ集団だからこそ、全員が非常にレベルの高いスケートを披露してくれました。

個と群の融合

私がBEYONDで素晴らしいと思う点として、全員に1つ以上の見せ場があるということが挙げられます。リンクに1人しかおらず、全観客の目線が1人のスケーターに寄せられることになる。

印象的なのはカルメンでしょう。小林レオニーさんの迫力ある序曲、今原さんの茶目っ気あるアラゴネーズ、小山さんの誘惑するかのようなハバネラ、今井さんのタンバリンを持った可憐なジプシーソング、登場する女性スケーター4人がそれぞれの自らの良さを存分に発揮したプログラムを演じてくれました。これら個人演技により、キャスト個人へのファンもついたのではないでしょうか。

とくに国際大会未経験組の演技が非常に素晴らしかったという印象があります。山本 恭廉さん、小山 渚紗さん、今原 実丘さん、小林レオニー百音さんの4人は表現面で「この表現はこの人にしか出せない!」と思わせる演技を披露してくれました。

一方で、群舞の素晴らしいプログラムも多数生まれました。幻想即興曲、I got rhythm、白鳥の湖はほぼ全員が出演していたプログラムですが、これらプログラムの良さは個人演技では出せないストーリー性の豊かさをが出せる点です。

各々の良さが活きる個人演技を入れつつ、チームで演じることで良さが出るプログラムは群舞として表現するという個と群の融合ができていた。そのバランスが取れていたことが非常に良い印象として残りました。

浅田真央のプロデュース 力

今回のBEYONDを通じて驚かされたのは「浅田真央のプロデュース 力の高さ」です。

I got rhythmのおしゃれなそれぞれに似合っている衣装は、彼女が似合いそうな衣装をそれぞれ選んだというし、カルメンはそれぞれに似合っている楽曲を選んだというし、浅田さんのすべての選択がドンピシャで似合っています。

柴田くんと演じることになるペア演技は、浅田さんから提案したというし、自分が何をすれば似合っているのかも十分に理解しているように思われます。

似合うものを選ぶということは、自らが、そしてキャストがどのようなスケーターで、どんな性格なのかを観察して理解しているということなんでしょう。非常に優秀なスケーターであり、座長であり、プロデューサーでもある浅田真央さんがいなければ、ここまで素晴らしいアイスショーにならなかったでしょう。

おわりに

BEYONDがなぜここまでの大成功を収めたのかという要因を考察しました。結論として、これらにまとめられるのではないかと思います。

  • 来場しやすいチケット販売
  • バレエ・ダンス等の他のジャンルの表現を氷上で再現
  • 映像の活用
  • 全キャストが主役
  • 個人演技と群舞の融合
  • 浅田真央のプロデュース力の高さ

BEYONDの過去記事はこちらです👇

★BEYONDがどんなアイスショーなのか解説しています。

 ★BEYONDの演目について解説しています

★BEYONDがなぜ成功したのか考察を行っています。

★立川千秋楽公演の現地観戦記録です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ただのフィギュアスケートファン。フィギュアスケート現地観戦し始めて10年前後。現在も日本国内の大会・アイスショーに出没しています。
このブログでは現地観戦の感想、日々感じたことをのんびり書いています。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次