フィギュアスケートの観戦者を増やすには

今年7月に行われたドリームオンアイスでは衝撃的なくらい空席が目立ちました。良い機会なので、観客目線でフィギュアスケートの観戦者を増やすという観点から「フィギュアスケートの運営において何が問題なのか?」を考えていこうと思います。

目次

運営側の責任

新規参入のハードルの高さ

運営側の責任として、1点目にあげられるのが「新規参入のハードルの高さ」です。

例えば、フィギュアスケートをテレビで見て「気になる!」「見に行きたい!」と思ったとして、そこから実際にチケットを購入して現地観戦するまでのハードルが高いように感じます。

具体的には、チケット代の高さ、前もってチケットの抽選販売に何度かチャレンジして…とハードルがいくつもあり、本当に行きたい人、ずっと来ている人しか現地観戦しない構造になっているのではないか?という気がします。ちょっとフィギュアスケートを見てみたい、気になるという層は、あえてこれらハードルを越えて観戦に来ることはないのではないでしょうか。

この点について、先日行われたジャパンオープンにおいて、日本スケート連盟に登録しているスケーターと同伴者1名、埼玉県・東京都在住、埼玉県・東京都の学校に通学している小中学生を無料招待して、B席のチケットをプレゼントしていました。新規参入のハードルを少しでも下げようとする努力が伝わってきました。

地上波放送の減少

運営側(テレビ局?)の責任として、2点目にあげられるのが「地上波放送の減少」です。

私は先ほど、新規参入時の流れとして、フィギュアスケートをテレビで見たことをきっかけに、現地観戦するという流れを紹介しました。一方で、最近はフィギュアスケートの地上波放送が大幅に減っています。

極端なのがグランプリシリーズです。2023年グランプリシリーズの放送予定を見ると、ほとんどが関東地区の放送のみ、なおかつ深夜放送となっています。地上波以外で放送を見るのであれば、ライブ配信チケットを購入する必要があり、2023年グランプリシリーズでは全大会セットで6,200円、1大会1,500円を払う必要があります。ちなみに、このグランプリシリーズの放送はYouTubeでライブ配信されていますが、日本では別途有料ライブ配信とテレビ放送がある関係でブロックされています。

また、地上波の放送内容も例年選手紹介のVTRにたっぷり時間をかけて、肝心の演技はかなり人数を絞って放送している傾向にあります。男女シングルの選手は放送されますが、ペア・アイスダンスの選手は基本的に放送されていません。

この状況下では、フィギュアスケートをテレビで初めて見て興味を持つ人は減少していくのが当然です。

テレビに変わるSNSやメディアを活用しようにも、音楽と振り付け、ジャンプと言った表現面・技術面が融合したスポーツであるフィギュアスケートの魅力を伝えるには、短時間の動画は不向きであり、TikTokやInstagramはあまり相性が良くありません。TwitterやYouTubeを活用するという方法で広報するにしても、そもそも音楽を使用しているので著作権との関係が出てきます。

地上波放送の減少により、新たに興味を持つ人自体が減少傾向にあり、地上派放送に変わるものも見つけられていない状況にあると言えるでしょう。

スケーターの人気への依存

運営側の責任として、3点目にあげられるのが「スケーターの人気への依存」です。

2006年トリノオリンピック前後から、高橋大輔、浅田真央、羽生結弦と次々スター選手が台頭してきました(ここで名前をあげたのはすでにプロ転向済みのスケーターのみです)。結局のところ、このスター選手らが現役として試合に出場している間に、特定選手の人気に頼らない、フィギュアスケートという競技自体を愛しているファンを増やしていくことに失敗したのではないか?という気がします。

選手に人気があり何もしなくてもチケットが売れる状況にあったことから、いわゆる殿様商売になっていたのではないか?ということです。

その典型とも言える自体が先日のジャパンオープンでの座席振替でしょうか。一部座席において、事前の案内なしに当日座席の振替・移動が行われました。この対応について、「振替前の座席を狙って取っていたのに」「振替有無の選択権がないのはなぜか」「そもそもなぜ事前連絡なく、当日強制的に移動させられるのか」と批判が集まりました。高いチケット代を払って、当日楽しみにしていた観客を裏切る行為だったと思います。

もしここ最近、フィギュアスケートの観戦者が減っていると感じるのであれば、それはこれまでスター選手の人気に頼った殿様商売を重ねてきたことの結果ではないか?と思います。

既存観戦者側の責任

これは本当に一部の人のみに当てはまることですが、マナーが悪い観戦者をたまに見かけることがあります。2022年全日本選手権では、私の座席の近くに特定選手の悪口を連呼している馬鹿が座っており、非常に不愉快でした。

ちらほらTwitterでも質の低い観戦者がいるという話があがってきますが、そういう人が近くにいるとせっかくフィギュアスケートに興味を持って見に来た人も嫌な思いをして、もう現地観戦しなくなる…ということも起こりえます。

ここまでに述べたのは、質が低い、頭が悪いといった悪意がある観戦者だと思いますが、悪意がなくても、前のめり、帽子を被ったり、手持ちバナーを大きく広げたり…と悪意がなくても周囲の観戦者を邪魔していることもあるかもしれません。

我々、既存観戦者もマナーを守ってフィギュアスケート観戦を楽しみましょう。それが、新規参入者を潰さないということにつながります。

まとめ:観客を増やすにはどうすべきか

ここまで、フィギュアスケート観戦者を増やすという観点から、運営において何が問題なのか考えてきました。

私が問題と考えたのは以下項目となります。

  • 運営側の責任①:新規参入のハードルの高さ
  • 運営側の責任②:地上波放送の減少
  • 運営側の責任③:スケーターの人気への依存
  • 既存観戦者側の責任:ごく一部の観客のマナー

フィギュアスケート観戦者を増やすということを考えると、まずはこの問題を解決していくことが必要と思われます。

フィギュアスケートに触れる機会を増やす→フィギュアスケートの現地観戦をしやすくする→現地観戦でフィギュアスケートを楽しむ、このサイクルを回すことでフィギュアスケート観戦者を増やすことができるのではないかと考えます。

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この記事を書いた人

ただのフィギュアスケートファン。フィギュアスケート現地観戦し始めて10年前後。現在も日本国内の大会・アイスショーに出没しています。
このブログでは現地観戦の感想、日々感じたことをのんびり書いています。

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