今回の記事では、フィギュアスケートに関する面白い論文を見つけたのでご紹介します。「フィギュアスケート観戦者の特性に関する研究」、私たちスケオタが研究対象はさすがに草と思って読んでみました。
論文概要
概要
- 著者:井上 尊寛、竹内 洋輔※
- タイトル:フィギュアスケート観戦者の特性に関する研究
- 雑誌等:法政大学体育・スポーツ研究センター紀要,30巻,63-66頁。
- 発行年:2012年
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※井上氏は法政大学教員、竹内氏は日本スケート連盟のフィギュア強化部長ですね(2023年7月現在)。
どのように調査しているのか?
2011年全日本ノービス選手権の観戦者を対象とする。
個人的特性(性別、婚姻の有無、地震のフィギュアスケート歴等)、過去1年間に観戦した他の競技会、観戦関係費用等について調査を行った。
明らかになったこと
個人的特性・観戦行動
- 既婚者女性が観戦者の多くを占めている。
- 観戦者の多くはフィギュアスケート競技歴がない(77.7%)。
- 前年観戦歴は国内ローカル大会・ブロック大会の観戦割合が高い。
- 月間自由裁量所得は平均52,532円、年間観戦関連支出は平均143,637円、年間グッズ購入費は平均12,202円。ただし、データのバラつきが大きい。
情報収集経路
- 日本スケート連盟HPが63.8%でトップ。続いて友人・知人・家族が43%で続く。
- Twitterは10.1%
応援している選手の有無と応援年数
- 応援している選手がいるのは67.7%
- 応援歴は平均5.5年
競技会とアイスショーの選好
- 82.5%の人が競技会の方が好き
ルールに関する理解とニーズ
- ルールがより分かれば、より競技を見るのが面白くなるのスコアが高い。
- ジャンプ・スピンの種類や回転数の規定・区別についてはルールを理解している割合が高い。
- 演技中に欲しい情報としては、「得点の詳細」が最も高いスコアを示している。
観戦動機
- 「フィギュア観戦が好きだから」が動機として最もスコアが高く、「スケジュールの都合がよかったから」「家族や知人が大会に出場しているから」が続く。
- 「周囲で盛んに話題になっているから」「チケットをもらったから」はスコアが低い。
批判的考察
著者の問題意識として、フィギュアスケートとファンの関係性・結びつきを明らかにすることで、今後の大会運営・マーケットの拡大につなげたいという意識があるらしい。一番疑問なのは、その問題意識から分析対象を選択するとき、「全日本ノービス選手権の観客」が適切だったかどうかが疑問。
回答者の比率男性37.1%、女性62.9%となっていて通常のフィギュアスケート観客の比率から見ても男性が異常に多い(気がする…)。「全日本ノービス選手権の観客」は、ほとんど全員が出場している選手の家族・親族等関係者だったのでは?
ちなみに、私は2014年全日本ノービス選手権を現地観戦していました。もちろんスケオタもいたけど、関係者が多かった印象が…。
情報収集経路でTwitterが10.1%だったのが超意外でしたが、これがスケオタではなくノービス選手の保護者・関係者と考えると結構納得感があります。
あと、現地観戦するスケオタと現地観戦せず自宅観戦のみのスケオタの比較もあると良いな~と思います。
印象的だったのは、演技中や直後に欲しい情報として「得点の詳細」「スピン・ステップの難度」が挙げられていますが、これは2023年現在改善されていますよね。テレビ等で観戦していると、左上にスピンステップのレベル判定やジャンプのGOEが表示されていますし、選手も演技後すぐに得点詳細が確認できています。むしろ今調査をしたらどんな結果が返ってくるのかが気になります。
おわりに
竹内氏はフィギュアスケートに関する論文をそのほかも複数執筆しています。
フィギュアスケート観戦者に関する論文はほかにもこれらがあります。
- フィギュアスケート観戦者における観戦動機に関する研究
- フィギュアスケート観戦者に関する研究 : NHK杯の観戦者に着目して
- フィギュアスケート観戦のプロダクト構造
これらについても少しづつ読んで解説していこうかな~と思っています!
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