韓国代表チーム2名の合宿中の不祥事により選手資格停止処分

韓国から非常にショッキングなニュースが舞い込んできました。代表合宿の最中に選手が飲酒・セクシャルハラスメントを行い、選手資格停止処分を受けたというものです(該当記事リンク)。ニュースの内容をまとめた上で、このニュースに対する私見をまとめました。

目次

不祥事の内容

事件の概要

2026年ミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックに向けて、イタリア・ヴァレーゼで行われた韓国代表チームの合同合宿中、韓国代表の女子選手Aが飲酒し、その際に男子選手Cに対してセクシャルハラスメント行為を行いました。

この行為はチーム内で大きな問題となり、内部調査の結果、女子選手Aには3年間の選手資格停止処分が下されました。同じ部屋にいた女子選手Bも飲酒行為に関与し、性的不快感を与えるAの写真を撮ってCに見せたことで、1年間の選手資格停止処分を受けました。男子選手Cも合宿訓練期間中に異性の宿舎に出入りしたため、けん責処分が科されました。

なお、同合宿には、2023年世界選手権銀メダリストであるチャ・ジュンファン、2024年世界ジュニア選手権銀メダリストであるシン・ジア、2024年世界選手権銀メダリストであるキム・チェヨンの3名は参加していませんでした。

処分の詳細

  1. 女子選手A:
    • 違反行為: 飲酒およびCへのセクシャルハラスメント
    • 処分: 3年間の選手資格停止※再審請求
  2. 女子選手B:
    • 違反行為: 飲酒およびCへの不適切な写真の共有
    • 処分: 1年間の選手資格停止※再審請求
  3. 男子選手C:
    • 違反行為: 異性の宿舎への出入り
    • 処分: けん責

2023年世界選手権銀メダリストであるイ・へインは自身のInstagramにて本事件について釈明し、事実上女子選手Aが自らであることを明かしました。男子選手Cとは過去に付き合っており、今回の合宿で再会した。お互いにまだ好きだという感情があったからこそ、恋人同士のいたずらや愛情表現のつもりだったが、外部からセクシャルハラスメントと勘違いされるとは思いもしなかったとのこと。

韓国スケート連盟の対応

韓国スケート連盟は、スポーツ倫理センターにこの問題を申告し、再発防止策を講じる方針を示しました。連盟は選手たちの倫理意識と行動規範の強化に努めるとしています。

本不祥事について思うこと

処分の妥当性

まず、韓国スケート連盟が下した処分についてです。女子選手Aに3年間の選手資格停止、女子選手Bに1年間の選手資格停止、男子選手Cにはけん責処分が科されました。女子選手2名への処分は一見厳しいように思われますが、セクシャルハラスメントという重大な行為を考慮すると、これでも軽いのではないかという気もします。

韓国の法律については詳しくありませんが、日本でも重度のセクシャルハラスメントは犯罪行為となります。スポーツ界における倫理規範の重要性を鑑みれば、この処分は妥当もしくはやや軽めに判定されたと見て良いと思います。

関係者の氏名非公表の意義

この事件において、合宿の参加者や年齢から関係者の氏名は公然の秘密のようになっているものの、関係者の氏名が直接的に公表されていないことは評価できます。事件の詳細が報道される中で、関係者のプライバシーを保護することは非常に重要です。2022年北京オリンピックで起きたカミラ・ワリエワを巡るドーピングスキャンダルでは、彼女の名前が即座に報道されていました。同様な事態になっていないことは、本不祥事において不幸中の幸いです。

特に被害者である男子選手Cのプライバシーを守ることは、二次被害を防ぐ上で不可欠です。引き続き、関係者の氏名は公表されないよう適切に取り扱われることを強く望みます。

被害者のケア

被害者である男子選手Cのケアは、今回の不祥事で最も重要です。セクシャルハラスメントの被害者として、彼が精神的なサポートを受けられるよう、適切なケアが提供されるべきです。

セクシャルハラスメントを受けたということだけでなく、合宿中宿舎に遊びに行くほど親しかった選手が、自らへの行いを理由に選手資格停止処分という厳しい処分を受けたためショックを受けていると推察されます。また、女子選手A・Bのファンから男子選手Cへの攻撃も起こりえるため、男子選手Cへのケアはより重要視して行い、引き続き競技活動を継続できるよう支援を行ってほしいです。

2026年オリンピックへの影響

この不祥事は、2026年に開催されるミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックの韓国代表チームにとって大きな影響があります。女子選手A・Bの処分が確定した場合、両選手はオリンピックの代表枠が決定する2025年世界選手権に出場することが出来ません。韓国代表チームは大きな戦力ダウンを余儀なくされ、現在は最大3枠を有していますが、枠数を落とす可能性があります。また、女子選手Aは選手資格停止処分3年なので、2026年オリンピックには出場することが出来ません。

それだけでなく、スキャンダルによる士気の低下や、国際的なイメージの悪化も懸念されます。何も悪いことをしていない選手が不利益を被ることがないよう韓国スケート連盟には選手へのサポート・ケアを十分に行ってほしいです。

男性に対するセクシャルハラスメントの軽視

この不祥事は、男性に対するセクシャルハラスメントがいまだに軽視されていることを浮き彫りにしました。セクシャルハラスメントは、性別を問わず被害者に深刻な心理的影響を及ぼしますが、男性被害者の場合、社会的なステレオタイプや偏見からその深刻さが過小評価されがちです。

男性被害者が声を上げることが困難である現状を改善するためにも、今回の事件を機に、男女問わずセクシャルハラスメントに対する認識と対応を見直すことが必要ではないでしょうか。そして、これは私たちファンにとっても同じことです。選手に対する姿勢を改めて見直すきっかけにもなったように思います。

まとめ

今回の韓国フィギュアスケートにおける不祥事は、スポーツ界における倫理の重要性を再認識させるものでした。処分については女子選手A・Bともに再審請求を行っているため確定していませんが、今は関係者のプライバシー保護と被害者のケアに努めることが最優先だと思います。

今回処分を受けるであろう選手2名は非常に残念ですが、また選手資格停止処分期間が終了して、現役の選手生活を改めてスタートするのであれば、その時は応援したいと思います。いずれにしても、このような悲しい事件が繰り返されないことを祈るばかりです。

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この記事を書いた人

ただのフィギュアスケートファン。フィギュアスケート現地観戦し始めて10年前後。現在も日本国内の大会・アイスショーに出没しています。
このブログでは現地観戦の感想、日々感じたことをのんびり書いています。

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