2023年全日本選手権への道【枠・出場選手】

2023年全日本選手権の予選会通過者数、東・西日本選手権大会 出場枠について日本スケート連盟からの発表がありました(2023年8月30日)。いよいよシーズンインという雰囲気になってきました。

この記事では、主に出場枠について詳細を取りまとめています。詳細は日本スケート連盟のホームページを参照してください。URL1 URL2

目次

全日本選手権に出場するには

全日本選手権に出場するには、前年の全日本選手権で3位以内に入りシードを獲得している選手を除いて、全選手がブロック大会を勝ち抜く必要があります。ブロック大会は、東北・北海道、関東、東京の3ブロックの上位選手が東日本選手権に進出、中部、近畿、中四国・九州の3ブロックの上位者が西日本選手権に進出。そして、東・西日本選手権の上位者が全日本選手権に進出するという流れです。

シード選手、ジュニアからの推薦選手もいますが、以上で示したブロック大会からの出場が主となります。

日本スケート連盟発表資料の読み方

各ブロック大会に対して、予選通過枠が割り振られています。しかし、その資料は非常にわかりにくい(わかりにくすぎる)ことで有名です。今回発表になった資料をもとに、じっくり読み解いていきましょう。

シード選手

前年の大会で3位以内の選手。シニアであれば全日本選手権、ジュニアであれば全日本ジュニア選手権に無条件で出場が可能

免除選手

シード選手以外で、各地区ブロック大会の前後1週間に国際大会派遣がある選手。該当するブロック大会への出場は免除される(自動的に通過扱いとなる)。ただし、免除となっていないブロック大会には出場しなければならない。例えば、鍵山優真選手は東日本選手権は免除となるが、その前の東京ブロック大会への出場は必要。

枠内

枠内では、免除選手の人数を表しています。例えば、東日本選手権のシニア男子では「10人(枠内2人)、1人シード」と記載がありますが、東日本選手権から全日本選手権への通過枠は10人分あり、その10人の中に2人免除選手(三浦佳生選手、鍵山優真選手)がいる。東日本選手権からの通過枠10人とは別に、1人シード選手(島田高志郎選手)がいるということです。

そしてこの摩訶不思議な書類です。よくもまあ、こんなわかりにくい書類をいけしゃあしゃあと作ってきたなという印象です。

前年成績

前年の「全日本選手権」の成績のことです。「前年成績」の下に参照となる順位が記されており、シニア男女であれば、「Top10」と記載がありますので、前年の全日本選手権上位10位以内の選手が、東日本・西日本のいずれのブロックに属しているのかをカウントして示しています。ただし、ここで前年の全日本選手権上位10位以内として対象になる選手に、前年全日本選手権時のシード選手、ジュニアからの推薦出場選手は含みません。

予選通過枠+シード

東日本・西日本それぞれの予選通過枠数とシード選手の枠数が記載されています。ここでは免除選手の記載はありません。通過枠だけ知りたいという方はここだけ見ておけば問題ありません。

計算方法

Eに東日本の「前年成績」の数、Wに西日本の「前年成績」の数を入れます。Eが含まれている箇所で計算した結果が東日本選手権からの予選通過枠、Wが含まれている箇所で計算した結果が西日本選手権からの予選通過枠となります。推薦はジュニアからの推薦出場枠、シードは前年全日本選手権で3位以内に入ったシード選手です。

男子シングル

ここからは、2023年全日本選手権の予選通過枠の詳細を見ていきましょう。

全日本選手権 予選通過者内訳(男子シングル)
  • シード選手 3人
  • 東日本選手権 10人(内2人は免除)
  • 西日本選手権 9人(内3人は免除)
  • ジュニアからの推薦選手 8人

合計30人

シード選手 3人

宇野昌磨、島田高志郎、友野一希

東日本選手権 10人

  • 免除選手 2人(三浦佳生、鍵山優真)
  • 選手権出場選手 上位8人

主な東日本選手権出場見込み選手:佐藤駿、大島光翔、長谷川一輝、吉岡希

昨年の東日本全日本選手権出場メンバーのうち、山隈選手が現役引退、西山選手がシングル引退ということもあり、東日本からは全日本初出場の選手が多く出てきそうですね
鍵山選手は中京大学に進学しましたが、オリエンタルバイオ所属でもあるので東京・東日本ブロックとなっています。

西日本選手権 9人

  • 免除選手 3人(壷井達也、山本草太、片伊勢武アミン)
  • 選手権出場選手 上位6人

主な西日本選手権出場見込み選手:森口澄士、三宅星南、佐々木晴也、櫛田一樹、本田ルーカス剛史、木科雄登、杉山匠海、彦阪昇吾、小林隼

東日本と対照的に、西日本は激戦となりそうです。昨年の全日本選手権出場者9人に対して、免除選手を除くと残りは6人分の枠しかありません。この中から最低でも3人が全日本選手権に進めないという激戦区となりました。

ジュニアからの推薦選手 8人

主な全日本ジュニア選手権出場見込み選手

中村俊介、周藤集、垣内珀琉、田内誠悟、中田璃士、西野太翔、蛯原大弥、三島舞明、高橋星名、森本涼雅

今年もジュニアからは8人が推薦選手となります。ノービスの選手は推薦出場ができないため、ノービス選手を除いた全日本ジュニア選手権上位8人が全日本選手権へ推薦となります。

女子シングル

全日本選手権 予選通過者内訳(女子シングル)
  • シード選手 3人
  • 東日本 8人
  • 西日本 11人
  • ジュニアからの推薦選手 8人

合計30人

シード選手 3人

坂本花織、三原舞依、島田麻央

東日本選手権 8人

  • 免除選手 3人(渡辺倫果、樋口新葉、住吉りをん)
  • 選手権出場選手 上位5人

主な東日本選手権出場見込み選手:青木祐奈、江川マリア、本田真凜、三枝知香子、吉岡詩果

全日本選手権進出8枠の内3枠が免除選手で占められているため、東日本選手権上位5位までが全日本選手権進出となります。千葉百音選手が所属を東北高校から木下アカデミーに変更して東日本から西日本になりましたので1枠東日本に空きが出ましたが、それでも狭き門には間違いないです。

西日本選手権 11人

  • 免除選手 4人 3人(千葉百音、河辺愛菜、吉田陽菜、紀平梨花
  • 選手権出場選手 上位7人 上位8人

主な西日本選手権出場見込み選手:松生理乃、三宅咲綺、山下真瑚、大庭雅、籠谷歩未、横井きな結、白岩優奈、荒木菜那

昨年の全日本選手権出場メンバーから竹野姉妹、横井ゆは菜さんが現役引退しました。枠数的には余裕があるように見えますが、西日本は層が厚いため、1つのミスが命取りになる可能性があります。

  • 2023年9月4日追記:紀平梨花選手が西日本選手権の予選である中部選手権へのエントリー見送りを発表しました。西日本選手権については免除選手ですが、中部選手権は免除となっていないため、西日本選手権の免除は適用されなくなります。

ジュニアからの推薦選手 8人

主な全日本ジュニア選手権出場見込み選手

島田麻央(シード選手)、中井亜美、櫛田育良、柴山歩、村上遥奈、髙木謠、奥野友莉菜、上薗恋奈、和田薫子

ジュニア年齢の島田麻央選手がすでにシード選手となっているので、島田選手・ノービス選手を除いた全日本ジュニア選手権上位8位の選手が推薦となります。実質ジュニアから9人が全日本選手権進出となりました。

予選通過枠の決定方法

スケート連盟が毎年発表している全日本選手権の予選通過枠は非常にわかりにくいです。私も今まで全然理解しておらず、実際の枠のみ見ていましたが、せっかくなので勉強してみました。

計算方法

全日本選手権の予選通過枠計算方法

東・西日本の予選通過枠:(前年全日本選手権上位10位の選手数/10)×9+5

以上が東・西日本への予選通過枠計算方法となります。しかし、これだけ見てもよくわからないので実際にこの計算式を使用して2023年全日本選手権の予選通過枠を計算してみましょう。

2023年全日本選手権の予選通過枠を計算

まず、「前年全日本選手権上位10位の選手数」とは、前シーズンの全日本選手権シード選手・ジュニアからの推薦選手を除外した上で、上位10位の選手を東日本・西日本のいずれに所属しているかをカウントしていきます。

参考として、2022年全日本選手権の結果を見ていきましょう。男子シングルでは、宇野選手・鍵山選手がシード選手、吉岡選手、中村選手がジュニアからの推薦出場のためカウントから除外。それ以外の上位10位なので、14位の大島選手までがカウント対象となります。東日本・西日本ともに5人となりました。

順位選手名所属地区カウント
1宇野昌磨トヨタ自動車西日本シード
2島田高志郎木下グループ東日本東1
3友野一希上野芝スケートクラブ西日本西1
4佐藤駿明治大学東日本東2
5山本草太中京大学西日本西2
6三浦佳生オリエンタルバイオ目黒日大高東日本東3
7森口澄士木下アカデミー西日本西3
8鍵山優真オリエンタルバイオ/中京大学東日本シード
9壷井達也シスメックス西日本西4
10吉岡希法政大学ジュニアジュニア
11中村俊介木下アカデミージュニアジュニア
12三宅星南関西大学西日本西5
13山隈太一朗明治大学東日本東4
14大島光翔明治大学東日本東5
2022年全日本選手権結果(男子シングル)

女子シングルでは、坂本選手・河辺選手がシード選手、島田選手、中井選手、千葉選手、櫛田選手、柴山選手、村上選手がジュニアからの推薦出場のためカウントから除外。それ以外の上位10位なので、18位の竹野比奈選手までがカウント対象となります。東日本が3人、西日本が7人となりました。

PL選手名所属地区2カウント
1坂本花織シスメックス西日本シード
2三原舞依シスメックス西日本西1
3島田麻央木下アカデミージュニアジュニア
4中井亜美MFアカデミージュニアジュニア
5千葉百音東北高校ジュニアジュニア
6吉田陽菜木下アカデミー西日本西2
7青木祐奈日本大学東日本東1
8櫛田育良木下アカデミージュニアジュニア
9河辺愛菜中京大中京高校西日本シード
10柴山歩木下アカデミージュニアジュニア
11紀平梨花トヨタ自動車西日本西3
12渡辺倫果法政大学東日本東2
13松生理乃中京大中京高校西日本西4
14住吉りをんオリエンタルバイオ/明治大学東日本東3
15三宅咲綺岡山理科大学西日本西5
16山下真瑚中京大学西日本西6
17村上遥奈木下アカデミージュニアジュニア
18竹野比奈福岡大学西日本西7
2022年全日本選手権結果(女子シングル)

2022年全日本選手権上位10位の選手数を東・西日本に当てはめて計算すると、男子シングルの枠は以下のとおりになります。

  • 東日本:(5人/10人)×9+5=9.5人
  • 西日本:(5人/10人)×9+5=9.5人

今シーズンのシード選手3人、ジュニアからの推薦選手8人で合計11人、出場枠合計は30人のため残りの出場枠は19人です。端数処理を行いますが、四捨五入すると東・西日本ともに10人であり出場枠20人となり1人溢れてしまいます。東・西日本の成績内訳を見ると、トップは東日本の島田選手のため、東日本を10人、西日本を9人として予選通過枠を設定します。

続いて、女子シングルについて見ていきましょう。以下の計算となります。

  • 東日本:(3人/10人)×9+5=7.7人
  • 西日本:(7人/10人)×9+5=11.3人

端数処理は男子とは異なり四捨五入のみで問題ありません。東日本8人、西日本11人が予選通過枠として設定されました。

以上男女シングルの全日本選手権の東・西日本の予選通過枠を計算しましたが、これら数字は日本スケート連盟が発表している数字と一致しています。

ジュニアからの推薦選手、シード選手の人数が変更した場合

昨シーズンから、ジュニアからの推薦選手が6人から8人へと変更になりました。また、シード選手が現役引退することもあり、その場合は計算式がやや異なってきます。その場合の計算式を求めてみましょう。改めて確認しますが、2023年の全日本選手権における東・西日本の予選通過枠は以下の通りになります。

東・西日本の予選通過枠:(前年全日本選手権上位10位の選手数/10)×9+5

5は基本枠なので、基本的に変更はありません。ジュニアからの推薦選手、シード選手の人数が変わる場合、9の数字が変わることになります。以下のとおり計算して数字を求めることになります。

  • ジュニアからの推薦選手数、シード選手の人数の合計を求める
  • 出場総枠30人から、ジュニアからの推薦選手数、シード選手の人数合計を引く
  • 以上の方法で求めた数字を予選通過枠の計算式に入れて計算する。

例えば、ジュニアからの推薦選手数6人、シード選手3人の場合を想定して計算してみましょう。

30人-(6人+3人)=21人となり、東・西日本予選通過枠の合計は21人となります。あとは、予選通過枠計算式に21人を入れて計算するだけです。

  • (前年全日本選手権上位10位の選手数=10人/10人)×X(9の代わりになる数字)+5人+5人=21人
  • X=21人-10人
  • X=11人

つまり、ジュニアからの推薦選手数6人、シード選手3人の場合の計算式は、【(前年全日本選手権上位10位の選手数/10)×11+5】となります。そして、同様の状況であった2022年全日本選手権の東・西日本予選通過枠の計算式は同様の計算式となっています。

計算方法である上位10位以内の~が変わらない限りは、以上の計算式で基本的には計算が可能です。

まとめ

2023年の全日本選手権の東・西日本からの予選通過枠、計算方法をまとめました。今年もいよいよ全日本選手権への道が始まりますが、出場する選手全員が納得できる演技ができるよう祈っています。

スクロールできます
シード選手東日本選手権西日本選手権ジュニア推薦
男子シングル3人10人9人8人
女子シングル3人8人11人8人
2023年全日本選手権枠配分
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この記事を書いた人

ただのフィギュアスケートファン。フィギュアスケート現地観戦し始めて10年前後。現在も日本国内の大会・アイスショーに出没しています。
このブログでは現地観戦の感想、日々感じたことをのんびり書いています。

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