日本国内のフィギュアスケートシーズンの始まりを告げるげんさんサマーカップ、木下トロフィーが2023年8月11日に始まりました。この記事では、木下トロフィー男女ジュニアのショートプログラムの結果と感想を書き綴っています。
男子ジュニア
競技結果
PL. | 選手名 | 所属 | TSS | TES | PCS | CO | PR | SK | Deduction | StN. |
1 | 中村 俊介 | 木下アカデミー | 77.85 | 42.36 | 35.49 | 7.08 | 7.25 | 6.92 | 0.00 | #5 |
2 | 高橋 星名 | 木下アカデミー | 53.59 | 29.54 | 25.05 | 5.00 | 5.00 | 5.00 | 1.00 | #9 |
3 | 蛯原 大弥 | 明治神宮外苑FSC | 50.36 | 25.17 | 25.19 | 5.00 | 4.83 | 5.25 | 0.00 | #3 |
4 | 森本 涼雅 | 木下アカデミー | 48.70 | 25.10 | 25.60 | 5.00 | 5.08 | 5.25 | 2.00 | #4 |
5 | 花井 広人 | 邦和みなとスケート部 | 45.68 | 21.88 | 23.80 | 4.75 | 4.50 | 5.00 | 0.00 | #6 |
6 | 磯和 大雅 | 京都宇治FSC | 43.15 | 21.44 | 21.71 | 4.33 | 4.25 | 4.42 | 0.00 | #2 |
7 | 佐藤 和那 | 邦和みなとスケート部 | 42.16 | 21.33 | 22.83 | 4.50 | 4.42 | 4.75 | 2.00 | #8 |
8 | 石原 弘斗 | 京都宇治FSC | 42.11 | 21.26 | 21.85 | 4.33 | 4.25 | 4.50 | 1.00 | #7 |
9 | 磯和 大智 | 京都宇治FSC | 40.76 | 20.49 | 22.27 | 4.50 | 4.25 | 4.58 | 2.00 | #1 |
メンバーを見ればわかりますが、濱田門下生勢ぞろい!といった感じですね。
感想
中村俊介
昨シーズンからの継続プログラムで2シーズン目ということもあり、すでにプログラムの完成度が非常に高いですね。非常にキレがあり、より強弱が付いた動きができていて鳥肌が立ちました。
ジャンプはもう少しGOEが伸ばせるかな~という印象があります。3Aと3Lzは少しだけ詰まったように見えました。その割にジャンプ自体は高さと勢いがあった3Aは+2.13加点が付いているので、詰まらなければどこまで伸びるのか楽しみです。
高橋星名
ジャンプすべてにミスが出てしまい、キス&クライでは佐藤洸彬コーチに叱られていました。佐藤コーチは現役時代の独自路線を行くプログラムの数々からは想像できないくらい、キス&クライで選手に良かった点悪かった点をしっかり指摘している様子を見ることができます。
3Aはかなり良い感じですね。ドリームオンアイスでも着氷していましたし、安定して跳べるようになる日はそう遠くはないでしょう。ジャンプ以外では、彼のポッピングシャワーのように弾ける演技を見ることができました。
今シーズンはジュニアグランプリの派遣から漏れてしまったので、ブロック大会、とくに全日本ジュニアに合わせてくることを期待したいです。
ところで、彼がタッカーを滑ると、憧れと語る鍵山優真選手のように見えますね。
蛯原大弥
彼の存在を意識して演技を見たのはこれが初めてでした。が、「なるほど、これは逸材だ」と感じました。
スケーティングは奇麗だし、上半身の使い方も上手い。ジャンプもそこまで癖がない。ジュニアグランプリシリーズ1戦派遣が決定していますが、その選考に納得しました。
ところで、趣味の「ゆるキャラグッズ集め」がとても微笑ましいです。全日本ジュニアで上位に入ったら何らかの取材が入ると思うので、今まで集めたゆるキャラグッズを披露してほしいところ。
女子ジュニア
競技結果
PL. | 選手名 | 所属 | TSS | TES | PCS | CO | PR | SK | Deduction | StN. |
1 | 島田 麻央 | 木下アカデミー | 67.93 | 39.00 | 28.93 | 7.42 | 7.08 | 7.25 | 0.00 | #8 |
2 | 櫛田 育良 | 木下アカデミー | 62.69 | 34.75 | 27.94 | 6.92 | 7.17 | 6.92 | 0.00 | #5 |
3 | 柴山 歩 | 木下アカデミー | 62.57 | 34.87 | 27.70 | 6.92 | 7.08 | 6.83 | 0.00 | #3 |
4 | 上薗 恋奈 | LYS | 62.26 | 36.20 | 26.06 | 6.67 | 6.50 | 6.42 | 0.00 | #6 |
5 | 河野 莉々愛 | 木下アカデミー | 57.67 | 34.72 | 22.95 | 5.75 | 5.75 | 5.75 | 0.00 | #4 |
6 | 村上 遥奈 | 木下アカデミー | 56.67 | 31.95 | 24.72 | 6.33 | 6.17 | 6.08 | 0.00 | #1 |
7 | 髙木 謠 | 東京女子学院 | 55.75 | 31.14 | 24.61 | 6.17 | 6.00 | 6.33 | 0.00 | #10 |
8 | 中井 亜美 | TOKIOインカラミ | 55.75 | 28.82 | 26.93 | 6.83 | 6.67 | 6.75 | 0.00 | #11 |
9 | 今関 友梨香 | MFアカデミー | 55.34 | 31.74 | 23.60 | 5.83 | 6.00 | 5.92 | 0.00 | #2 |
10 | 金沢 純禾 | 木下アカデミー | 51.17 | 30.43 | 20.74 | 5.17 | 5.25 | 5.17 | 0.00 | #9 |
11 | 山田 恵 | 木下アカデミー | 45.90 | 26.39 | 19.51 | 4.83 | 4.67 | 5.17 | 0.00 | #7 |
メンバーがもはや全日本ジュニア選手権。ジュニアグランプリなら全員+3~5点つくでしょう。
感想
島田麻央
本人比で2Aつまった。もちろん本人比なので全ジャッジがGOEプラスをつけています。シニアの全日本選手権で3A投入を視野に入れているから、2Aが少しだけ崩れているんでしょうか(崩れてるも本人比。普通の選手から見たら全く崩れてない)。
3F+3Tが後半じゃないのが超意外。ジュニアSPは単独ジャンプの種類に指定があるので、コンビネーションジャンプのリカバリーができません。コンビネーションジャンプを後半に入れるリスクがシニアと比べて少ないので、私はジャンプが安定している人は全員SP後半にコンビネーションジャンプ跳んでくれ派です。
今日の演技は、冒頭の2A以外は全く揺るぎない貫禄すら感じる演技。まだジュニア2年目なのに、今日は彼女が絶対女王のように感じました。全日本4連覇してた頃の宮原知子さん(2014~2017年)と全く同じ、「私、失敗しないので」というオーラが出ていました。
今日の演技なら、ジュニアグランプリで70~72は出るはず
櫛田育良
継続プログラムということもあってかかなり滑り込まれている印象があります。スケーティングのスピード感、動きのキレが昨シーズンよりも増していました。
この演技なら、ジュニアグランプリでは65~67くらい出るでしょう。まだジュニアグランプリは1戦派遣しか決まっていませんが、この状態であれば間違いなく1戦目で表彰台に上って2戦目派遣を確定させると思います。
リンク上でのオーラすごく出ているのに、演技後キスクラでほわほわしてるギャップがすごい
柴山歩
本日の個人的MVP。
去年一気に身長が伸びて、今も胴体に対して手足がかなり長い印象。身長伸びてジャンプは少し難しくなったんだろうけど、新しいプログラム「死の舞踏」は長い手足を活かした印象的な振り付けが多数あり非常に見応えがあった。
今までのプログラムでも思いましたが、彼女はプログラムの世界観に観客を引き込んでくのが非常に上手いですよね。そして今回の死の舞踏のように、表現が難しいプログラムでも合わせることができる。今のところ今シーズン見たどの選手のプログラムよりも好みです。
リンク上でのオーラすごく出ているのに、演技後キスクラでほわほわしてるギャップがすごい人その2
上薗恋奈
7月上旬のドリームオンアイスで初めて彼女の演技を見ましたが、あまりの上手さに驚きました。そして、今シーズンジュニア女子の台風の目になるのは彼女だろうと確信しました。
このプログラムは前半、アリョーナ・コストルナヤ選手が2019~20シーズンに使用していたプログラム「トワイライト」と全く同じ曲を使っています。そのため、誰もがこの曲が流れればコストルナヤが脳裏に浮かぶ。しかし、コストルナヤと勝負できるくらい上手い。この人、数か月前までランドセル背負ってたってまじ?シニアの大会に出ても全く引けを取らないのでは。
他の振付師があまりやらないような印象的な振付がたくさん入っていますね。こういった振り付けを入れるのはリショーか美穂子だと相場が決まっている。2人の天才が作り上げた天才的なプログラムと言うべきでしょうか。
後半で曲調が変わるところだけ違和感があるけど、その変わった曲にも合わせて演技できていて印象が良いです。
あと少しだけ力強さが出てくると良いかなと思いました。それができればとんでもないことになりますが。
中井亜美
2A軽すぎ。普通にアクセルジャンプ跳んだら3Aになっちゃうので思いっきり手を抜いて2A跳んでます!って感じがしました。4回転ジャンパーの3回転とか、3Aジャンパーの2Aとか、超余裕で跳んでいるジャンプは好みです。
コンビネーションジャンプを入れることができず出遅れましたが、島田麻央じゃないので上手くいく日もそうでない日もあるでしょう。むしろ今日がジュニアグランプリじゃなくてよかった。
ドリームオンアイスでこのプログラムを見たときは、ジャンプだけが曲の表現から少し浮いてる印象があったけど、改善されて曲の表現にジャンプが溶け込みつつあるのを感じました。まだシーズン序盤なので、もっと良くなるでしょう。
今まで子供っぽい印象がありましたが、その印象が一気に変わりました。彼女が表現面でまた1つ階段を登ったことを確信した演技でした。
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