フィギュアスケート 強化選手の認定基準は何か?

2023年4月26日に、令和5年度(2023~24シーズン)の強化選手が発表されました。

最近は強化選手の認定基準があまり公開されないので、強化選手の認定基準は何か?を考えていきましょう。

目次

過去に公開されていた強化選手認定基準

特別強化選手

  • 全日本選手権1~3位

強化選手A

  • 全日本選手権4~8位
  • 全日本ジュニア選手権1~3位

強化選手B

  • 全日本選手権9~12位
  • 全日本ジュニア選手権4~8位

 

令和5年度(2023~24シーズン)強化選手

先に確認した過去の強化選手認定基準となっていた全日本選手権、全日本ジュニア選手権と合わせて、現在の強化選手認定基準に影響していることが良そうされる四大陸選手権、世界選手権、世界ジュニア選手権、シーズンベスト(SB)の結果を見ていきましょう。

男女シングル共に全日本1~3位の選手は特別強化選手に認定されています。

全日本1~3位以外で特別強化選手に認定されたのは、男子シングルの鍵山・三浦・山本・佐藤・吉岡選手、女子シングルの渡辺・吉田・中井・千葉選手です。これら選手はどの基準を満たして認定されたのかを検討していきましょう。

以下の表は、日本スケート連盟の発表した氏名順そのまま持ってきているのですが、注目すべきは、男子シングルは三浦・山本・佐藤・吉岡、女子シングルは渡辺・吉田・中井・千葉とSB順に並べられていることでしょう。SBが特別強化認定の基準となっていることが推測できます。

一方で、吉岡選手はSB43位であり、吉岡選手よりもSBが高い片伊勢選手(SB23位・強化A)、壷井選手(SB18位・強化B)が特別強化となっていません。片伊勢・壷井選手になく、吉岡選手にある成績としては世界ジュニア選手権3位でしょう。世界ジュニア選手権3位が認定基準となっていることがわかります。

また、壷井選手はSB18位ですが、強化Bであり特別強化認定がされていません。そのため、SB18位では特別強化認定基準を満たさないということがわかります。一方で、SBが壷井選手よりも高い三浦・山本・佐藤選手、渡辺・吉田・中井・千葉選手は特別強化に認定されていますが、世界選手権、四大陸選手権、世界ジュニア選手権での実績が考慮されている可能性もあるため、SB何位以上が特別強化の認定基準となっているのかこの時点ではわかりません。

怪我で全日本選手権1戦しか出場できなかった鍵山選手は、例外措置として特別強化認定されたものと考えられます。この例外措置は、鍵山選手と同じくシーズンほぼ全休となった樋口選手には適用されていません。樋口選手の場合は全休理由が自身の休養ということもあり、例外対応がなかったのかもしれません。

令和5年度の強化選手認定から推測できることは以下の通りです。

全日本1~3位の選手は変わらず特別強化選手認定基準となっている。
SBの順位が特別強化選手認定基準となっている可能性が高いが、現時点では何位以上であれば特別強化認定されるのか不明。少なくとも18位では基準を満たさない。
過去に実績のある選手が怪我等の理由で試合にほとんど出場できなかった場合、救済されて特別強化認定されることがある。

 

氏名 全日本
選手権
全日本Jr.
選手権
四大陸
選手権
世界
選手権
世界Jr.
選手権
SB その他 結果
宇野昌磨 1位     1位   1位   特別強化
島田高志郎 2位   11位     17位   特別強化
友野一希 3位     6位   10位   特別強化
鍵山優真 8位             特別強化
三浦佳生 6位   1位   1位 5位   特別強化
山本草太 5位     15位   9位 GPF2位 特別強化
佐藤駿 4位   3位     13位   特別強化
吉岡希 10位 1位     3位 43位   特別強化
森口澄士 7位             強化A
片伊勢武アミン 19位 2位       23位   強化A
佐々木晴也 15位 3位           強化A
壷井達也 9位         18位   強化B
中村俊介 11位 4位       44位   強化B
三宅星南 12位         47位   強化B
中田璃士 26位 5位       69位   強化B
垣内珀琥 18位 6位       104位   強化B
周藤集 17位 7位       93位   強化B
田内誠悟 23位 8位       101位   強化B
坂本花織 1位     1位   2位   特別強化
三原舞依 2位     5位   4位   特別強化
島田麻央 3位 1位     1位 3位   特別強化
渡辺倫果 12位   5位 10位   8位 GPF4位 特別強化
吉田陽菜 6位   8位     9位   特別強化
中井亜美 4位       3位 10位   特別強
千葉百音 5位   3位     11位   特別強化
青木祐奈 7位             強化A
櫛田育良 8位 4位       45位   強化A
河辺愛菜 9位         18位   強化B
柴山歩 10位 5位       33位   強化B
紀平梨花 11位         25位   強化B
奥野友莉菜 27位 6位           強化B
高木謠 21位 7位           強化B
村上遥奈 17位 8位           強化B
住吉りをん 14位         20位   強化指定なし
松生理乃 13位         47位   強化指定なし

強化選手の追加

2023年7月19日に強化選手の追加が発表されました。

氏名 GPS JGPS 当初 新指定
壺井 達也 1戦 派遣なし 強化B 強化A
河辺 愛菜 2戦 派遣なし 強化B 強化A
紀平 梨花 1戦 派遣なし 強化B 強化A
住吉 りをん 2戦 派遣なし 指定なし 強化A
樋口 新葉 2戦 派遣なし 指定なし 強化A
西野 太翔 派遣なし 1+α 指定なし 強化B
蛯原 大弥 派遣なし 1+α 指定なし 強化B
上薗 恋奈 派遣なし 2戦 指定なし 強化B

非常に選考基準がわかりやすい結果となりました。

  • グランプリシリーズへの出場が1戦でも確定した選手は強化選手A
  • ジュニアグランプリシリーズへの1戦でも確定した選手は強化選手B

ジュニアグランプリシリーズへの派遣確定選手が強化選手Bは過去の傾向そのものです。

グランプリシリーズ出場が確定した選手の強化指定については、1戦派遣で強化選手A、2戦派遣で特別強化となっていた時期もありましたが、今は派遣数にかかわらず強化選手Aとなるようです。

 

令和4年度(2022~23シーズン)強化選手

続いて令和4年度の強化選手を見ていきましょう。あくまでも認定基準を明らかにするという目的のため、強化選手は初めにスケート連盟から発表されたものを分析対象としています。最終的に現役引退で強化指定を外れる羽生選手の名前があるのはこのような理由からです。

特別強化選手

変わらず、男女シングル共に全日本1~3位の選手は特別強化選手に認定されています。

全日本選手権1~3位以外で特別強化認定を受けたのは友野・三浦・壷井選手、三原選手です。三浦選手と壷井選手については、先に確認した令和5年度の壷井選手のSBである18位を下回っているにもかかわらず、特別強化認定をされていることから、三浦選手は四大陸選手権3位、壷井選手は世界ジュニア選手権3位により特別強化認定を受けたものと推測ができます。

また、怪我でシーズン全休となった紀平選手が強化認定を受けていないことがわかります。紀平選手はGPF・全日本選手権優勝、世界選手権入賞という実績はありますが、これらの実績は考慮されないということです。一方で令和5年度には同じような状況だった鍵山選手が特別強化認定を受けていることから、過去にオリンピック・世界選手権表彰台に上った選手については、怪我等の理由でシーズンを全休した場合に柔軟に対応していることわかります。

令和5年度からの比較も含めて、新たに明らかになったこととしては、以下の通りです。

四大陸選手権3位以内は、特別強化選手の認定基準となっている。
シーズンを怪我等で全休した選手については、オリンピック・世界選手権のメダリストであれば基準によらず柔軟に対応して強化認定を行うことがある。
氏名 全日本
選手権
全日本Jr.
選手権
四大陸
選手権
世界
選手権
世界Jr.
選手権
SB その他 結果
羽生結弦 1位             特別強化
宇野昌磨 2位     1位   2位   特別強化
鍵山優真 3位     2位   3位   特別強化
友野一希 5位   2位 6位   17位   特別強化
三浦佳生 4位 1位 3位   13位 29位   特別強化
壷井達也 9位 2位     3位 40位   特別強化
三宅星南 6位   4位     34位   強化A
佐藤駿 7位         21位   強化A
山本草太 8位         31位   強化A
吉岡希 20位 3位           強化A
島田高志郎 10位         46位   強化B
本田ルーカス剛史 12位       14位 49位   強化B
片伊勢武 14位 4位           強化B
大島光翔 16位 5位           強化B
中村俊介 25位 6位           強化B
森本涼雅   7位           強化B
菊池竜生   8位           強化B
坂本花織 1位     1位   4位   特別強化
樋口新葉 2位     11位   15位   特別強化
河辺愛菜 3位     15位   27位   特別強化
三原舞依 4位   1位     11位   特別強化
渡辺倫果 6位       10位 79位   強化A
松生理乃 7位   5位     32位   強化A
住吉りをん 8位 2位     8位 67位   強化A
島田麻央   1位           強化A
千葉百音 11位 3位           強化A
吉田陽菜 9位 4位           強化B
柴山歩 10位 6位           強化B
横井ゆは菜 12位   7位     51位   強化B
田中梓沙 18位 5位           強化B
中井亜美 27位 7位           強化B
櫛田育良   8位           強化B

強化選手の指定要件まとめ

令和4年度・5年度の強化選手認定から、以下のとおり現在は強化認定基準を設定しているものと考えられます。

特別強化選手

  • 全日本選手権1~3位
  • 四大陸選手権1~3位
  • SB上位者(おそらく10位が基準?18位では対象外)
  • オリンピック・世界選手権メダリストは、前シーズンを怪我等で全休した場合、柔軟に対応して特別強化認定することがある(理由も関係している可能性大)。

※四大陸選手権1~3位で特別強化選手入りなら、世界選手権1~3位も特別強化選手入りになりそう。

しかし、全日本選手権4位以下、SB11位以下で世界選手権メダル獲得なんてこと実現しないと思うので、この基準は一生真相が闇の中。

強化選手A

  • 全日本選手権4~8位
  • 全日本ジュニア選手権1~3位
  • グランプリシリーズ出場選手(1・2戦どちらでも)

強化選手B

  • 全日本選手権9~12位
  • 全日本ジュニア選手権4~8位
  • ジュニアグランプリシリーズ派遣選手(1・2戦どちらでも)

 

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この記事を書いた人

ただのフィギュアスケートファン。フィギュアスケート現地観戦し始めて10年前後。現在も日本国内の大会・アイスショーに出没しています。
このブログでは現地観戦の感想、日々感じたことをのんびり書いています。

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