グランプリシリーズの出場要件とは
この記事では、フィギュアスケート グランプリシリーズの出場選手はどのようにして決まるのか?出場要件は何か?を取りまとめています。2023~24シーズンのグランプリシリーズアサインも発表されたので、それらも参考にして検討していきます。
結論からお伝えすると、以下の基準で出場選手が決まっていると考えられます。
- 前シーズン世界選手権の1~12位の選手(2大会確保)※辞退等があれば繰り上げあり
- 前シーズンシーズンベストスコア24位以内の選手(1大会確保)
- ISU世界ランキング24位以内の選手(1大会確保)
- 前シーズンジュニアグランプリファイナル優勝者(1大会確保)
- 前シーズン世界ジュニア選手権1~3位の選手(1大会確保)
- 開催国については、当該代表国の選手が最大3人出場可能
- 過去10年以内世界選手権3位以内の選手が復帰する場合(2大会確保)※
- 上記で出場選手を決定していき、なお枠にあまりがあれば、前シーズンシーズンベストスコア、ISU世界ランキングで出場選手を決定
※現在も制度として残っているかどうか不明
2023年のグランプリシリーズアサインと重ね合わせながら、だれがどのような要件によってグランプリシリーズ出場が決定していったのか見ていきましょう。
2023年グランプリシリーズアサイン
男子シングル
シード選手
前シーズン世界選手権1~6位の選手がシード選手となり、1~3位の選手、4~6位の選手は派遣大会が重ならないように、派遣大会が決定されていきます。
同1~3位のシード選手である宇野(中国・日本)・ジュンファン(カナダ・フィンランド)・マリニン(アメリカ・フランス)の3選手は、派遣大会がかぶっていません。
同4~6位のシード選手については、同5位のジェイソンがグランプリシリーズへのアサインがありません。同4位のエイモズ、同6位の友野はシード選手で確定として、ジェイソンのグランプリシリーズスキップに伴い繰り上げとなる可能性があったのは以下2名です。
- ブリッジギー(同8位)※同7位のキーガンは引退
- 三浦(前シーズンベストスコア5位)
同4位エイモズ(アメリカ・フィンランド)、同6位友野(カナダ・中国)となっており、残りの派遣大会はフランス・日本大会となります。
三浦の派遣大会が、カナダ・フィンランド大会であり、エイモズ・友野と派遣大会が重なっているにも関わらず、ブリッジギーの派遣大会はフランス・日本大会となっています。前シーズンのベストスコアではなく、世界選手権7位以下の選手から繰り上がりになるということでしょう。
招待選手
世界選手権9位のリッツォ(カナダ・フィンランド)以下6人が2大会派遣が保証されます。同10位アダム(フランス・中国)、同11位リトヴィンツェフ(アメリカ・フィンランド)、同12位グラスル(フランス・日本)、同13位ヴァシリエフス(アメリカ・日本)、同14位シャイドロフ(カナダ・中国)までが2大会派遣が保証となり、確かに6人全員が2大会派遣となっています。
続いて、前シーズンのベストスコア(以下、SB)24位以内の選手を見ていきましょう。引退選手を除きほぼ全員が2大会派遣となっています。1大会派遣となっているのは、壷井(同18位)・片伊勢(同23位)の2人のみです。この2人は世界ランキング(以下、WS)がSBに対して低いことが特徴的です。壷井が47位、片伊勢が72位となっています。
WS24位以内の選手についても、引退選手を除きほぼ全員が2大会派遣となっています。1大会派遣となっているのは、マ(同20位)、レヴァンディ(同23位)の2人のみです。この2人はWSに対してSBが低く、マが37位、レヴァンディが57位です。
SB・WS両方が24位以内の選手は全員が2大会派遣となっています。SB24位以内・WS24位以内のいずれかのみを達成している選手で2大会派遣となっている選手もいますが、達成していない方の要素が限りなく24位に近い数字となっていることから、SB・WSともに24位以内を満たすことが2大会派遣の鍵(山)となっていると考えてよいでしょう。
SB・WSともに25位以下であり、2大会派遣となっているのは鍵山(SBなし・WS26位)のみです。前シーズン怪我でほぼ全休となっており、出場試合は国内大会である全日本選手権(8位)のみでした。彼については、過去10年以内世界選手権3位以内の条件を満たしているので、復帰枠での2大会派遣もしくは、WSで1大会+大会開催国枠での1大会で2大会と考えられます。
女子シングル
シード選手
シード選手は前シーズン世界選手権1~6位の選手となります。
同1~3位のシード選手である坂本(カナダ・フィンランド)・へイン(フランス・日本)・ヘンドリックス(アメリカ・中国)の3選手は、派遣大会がかぶっていません。
同4~6位のシード選手であるレヴィト(アメリカ・フランス)・三原(中国・日本)・チェヨン(カナダ・フィンランド)の3選手も、派遣大会がかぶっていません。
招待選手
世界選手権7位のショット(カナダ・日本)以下6人は招待選手となり、2大会派遣が保証されます。同8位レポンド(フランス・フィンランド)、同9位ペトロキナ(アメリカ・中国)、同10位渡辺(カナダ・中国)、同11位ピンザローネ(フランス・日本)、同12位グレン(アメリカ・フィンランド)は2大会派遣となっています。
男子では同7~9位、10~12位内で派遣大会の被りがありましたが、女子は派遣大会の被りがありません。男子はかなり繰り上がりが発生しているので、男子がイレギュラーケースなのか、女子がイレギュラーケースなのか、来年以降の派遣大会で見ていく必要があるでしょう。
続いて、SB24位以内の選手を見ていきましょう。SB24位以内の選手は全員が2大会派遣となっています。男子と異なる点は、SBに対してWSが高くない選手も2大会確保できている点です。ソヨンはSB24位、WS67位、テネルはSB14位、WS44位、住吉はSB20位、WS42位ですが2大会派遣となっています。一方で、SB25位、WS89位の紀平は1大会派遣にとどまりました。
WS24位以内の選手を見ていきましょう。WS24位以内の選手はほとんどが2大会派遣となっています。1大会派遣となったのはSB31位、WS8位のクラコワ、SB42位、WS24位のグッドマンの2人です。とくに、クラコワはWS1桁順位かつSBも24位からそこまで離れていないにも関わらず、1大会派遣という厳しい結果となりました。
グランプリシリーズは開催国の意向が大きく働きますが、今後欠場者が発生した場合、クラコワ、グッドマンの2人は優先的に枠が回ってきそうです。開催国枠が発表されていない日本大会以外の大会は日本勢3人がすでにアサインされているため、紀平は日本大会の開催国枠もしくはすでに紀平がアサインされているカナダ大会以外で日本人選手の欠場者が出ない限りは2大会派遣されることはありません。
興味深いのはSB109位、WS30位の樋口が2大会派遣となっている点です。彼女は男子の鍵山と同じく昨シーズンはほとんどが全休となったため、SB・WSともに十分な数字を確保することができませんでした。にもかかわらず2大会派遣となった理由としては、過去10年以内世界選手権3位以内の復帰枠で2大会派遣、もしくはWSで1大会招待+日本大会の大会開催国枠と考えられます。鍵山・樋口ともに厳密には前シーズン完全休養ではなかったので、後者が有力ではないかと思います。
出場要件
Wikipediaの記載事項、2023年のグランプリシリーズアサインから推測できるグランプリシリーズ出場要件は以下のとおりとなります。併せて、日本スケート連盟の戦略も検討しました。
シード選手
- 前シーズン世界選手権の1位から6位までの選手をシード選手とし、2大会が割り当てられる。欠員があった場合、世界選手権7位以下の選手が繰り上がりとなる。
- シード選手である世界選手権1~3位、4~6位の選手はそれぞれ被らないように派遣先が決定される。
- 過去10年間の世界選手権で上位6位に入った選手が復帰する場合、一度だけ2枠の出場枠を得ることができる。
招待選手
- 前シーズン世界選手権の7位から12位の選手は、2大会選出が保証される。欠員が出た場合、前シーズン世界選手権の13位以下の選手が順に選出される。
- ISU世界ランキングで上位24位または前シーズンのベストスコア上位24名の選手は、1大会が保証される。
- 前シーズン世界ジュニア選手権のメダリストとISUジュニアグランプリファイナルの金メダリストは、シニアに参加する意向があれば、1大会が保証される。
- 大会開催国の選手は最大で3名、その国の大会に参加できる。
- 上記に該当するのすべてのスケーターが1つの大会に選出されてもなお空き枠がある場合、開催国は前シーズンのベストスコア、ISU世界ランキングから選手を選出して空き枠を埋める。
日本スケート連盟の戦略
- 日本大会であるNHK杯にエース格の選手を出場させることが多い。
- 前シーズンに怪我・休養等により実績がある選手が2大会派遣を確保することが難しい場合、日本大会であるNHK杯の開催国枠を使用して2大会派遣できるようにする(おそらく)。
- 最後の開催国枠3枠目は選考会を実施して出場選手を決定する。
おわりに
グランプリシリーズの出場要件を検討してきました。何年か同じように検討していくことで、ここで示した出場要件の精度がより上がっていくと思います。
グランプリシリーズ出場選手まとめは以下から👇
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