ブロック大会から全日本へ!出場枠と予選システムを読み解く

全日本フィギュアスケート選手権の出場を目指す選手たちは、まず各地域のブロック大会を勝ち抜いて、出場資格を得る必要があります。ブロック大会で何位以内に入ることで勝ち抜くことが出来るのか、各ブロック大会に割り振られる出場枠はどのようにして決まるのか、このプロセスを理解することで、試合の観戦がより深いものになります。

今回は、2024年全日本フィギュアスケート選手権への出場枠を事例として、どのようにブロック大会が行われ、選手が出場枠を得るのかを解説します。

目次

全日本選手権への出場ルート

全日本選手権へ進出する選手は、いくつかの異なるルートを通じて出場資格を獲得します。代表的な進出パターンは、以下の3パターンとなります。

全日本選手権への道
  • 予選会から勝ち上がるパターン:19人
  • シード選手として進出するパターン:最大3人
  • ジュニアからの推薦枠で進出するパターン:最大8人

合計30人

全日本選手権には最大30人が進出します。

なお、シード選手として進出するパターンは最大3人であり、2人以下になる場合があります。その場合は、予選会から勝ち上がるパターンに出場枠が再配分されます。一方で、ジュニアからの推薦枠で進出するパターンは7人以下になったとしても、その時点では既に予選会が終了しているので出場枠が再配分されることはありません。その場合は、出場者が29人以下となります。ただし、あまりこういった事態は起こりえないので、基本は上記の人数になるとの理解で問題ありません。

予選会から勝ち上がるパターン

この進出パターンは、各地域のブロック大会(第1予選)からスタートし、そこから選手たちは東日本選手権または西日本選手権(第2予選)に進みます。第2予選で優れた成績を収めた選手が、全日本選手権への出場権を獲得します。

後述しますが、前年成績により各地区に配分される約19枠を巡って予選会を争うことになります。

ブロック大会(第1予選) → 東日本・西日本選手権(第2予選) → 全日本選手権

STEP
第1予選:ブロック大会

以下ブロック大会を勝ち抜くことで、東日本選手権に進出します。

  • 東北・北海道ブロック
  • 関東ブロック
  • 東京ブロック

以下ブロック大会を勝ち抜くことで、西日本選手権に進出します。

  • 中部ブロック
  • 近畿ブロック
  • 中四国・九州ブロック
STEP
第2予選:東日本・西日本選手権

東日本選手権もしくは西日本選手権を勝ち抜くことで、全日本選手権の出場権を得ます。

シード選手として進出するパターン

シード選手は、前年度の全日本選手権で3位以内に入った選手が該当します。3枠が配分されます。これらの選手は、全日本選手権にかかるすべての予選会参加が免除され、直接全日本選手権に出場する権利を持っています。

2024年全日本選手権では、前年2023年全日本選手権の結果から、鍵山優真(男子シングル2位)、山本草太(同3位)、坂本花織(女子シングル1位)、千葉百音(同2位)、島田麻央(同3位)がシード選手として出場が確定しています。

注意点として、シード権を有していたとしても現役引退した選手はシード権を失います。そのため、2023年全日本選手権優勝の宇野昌磨はシード権を失っています。また、ジュニア年齢の選手は推薦出場という枠組みですが、他の選手と同様にシード権を得ることが出来ます。島田麻央は2022年、2023年ともに全日本選手権で3位となり、2023年、2024年全日本選手権のシード権を得ました。

ジュニアからの推薦枠で進出するパターン

全日本ジュニア選手権で上位に入った選手には、推薦枠として全日本選手権に出場ができます。2021~22年シーズンまでは、男女シングル共に推薦枠は最大6枠、2022~23年シーズン以降は最大8枠が割り振られています。

全日本ジュニア選手権には、ノービス年齢の選手が推薦出場していますが、ノービス年齢の選手は全日本選手権に推薦出場することはできません。かつての浅田真央が、ノービス年齢ながら全日本ジュニア選手権に推薦出場し、さらに全日本選手権にも推薦出場を果たしました。しかし、現行ルールではこのパターンは認められていません。

なお、ジュニアからの推薦枠で全日本選手権に進出するパターンでは、あくまでも最大枠であることに注意が必要です。必ずしも全枠を使い切るとは言えないことに注意が必要です。

出場枠の確認方法

全日本選手権に出場するためのルートが大きく分けて3パターンあることを確認しました。各パターンには何枠出場枠が割り振られているのかを確認していきましょう。シーズンが始まる8月末~9月にかけて、日本スケート連盟が公表する以下2つの資料で確認ができます。

日本スケート連盟公表資料
  • 〇〇〇〇-〇〇〇〇(〇には当該シーズンの数字が入る) 予選会通過者数
  • 〇〇〇〇-〇〇〇〇(〇には当該シーズンの数字が入る) 全日本・東/西日本予選通過者数

しかし、本資料は一見しただけでは何を意味するのかわかりにくいことで有名です。資料の読み解き方を解説していきます。

シード選手

前年の全日本選手権(シニア・ジュニア)で3位以内の選手。シニアであれば全日本選手権、ジュニアであれば全日本ジュニア選手権への出場が無条件で確定している。

ただし、現役引退選手、ジュニアからシニアに転向した選手がいる場合は、当該選手はシード選手から除外される。繰り上げは行われない。例えば、宇野昌磨は前年全日本選手権1位であり全日本選手権シード選手だが、現役引退。中村俊介は前年全日本ジュニア選手権1位の全日本ジュニア選手権シード選手だが、シニア転向。以上の理由により、両名はシード選手からは除外されている。

免除選手

シード選手以外で、予選会の前後1週間にグランプリシリーズ等の国際大会派遣がある選手は、該当するブロック大会への出場は免除される(自動的に通過扱いとなる)。ただし、免除となっていないブロック大会には出場して、勝ち抜く必要がある。例えば、吉田陽菜は西日本選手権は免除だが、その前の近畿ブロック大会に出場して勝ち抜く必要があるということです。

注意点として、シード選手は自動的に全日本選手権に出場できるため、予選会における予選通過者数には含みませんが、免除選手は予選通過者数に含まれます。そのため、予選通過者数の数が多かったとしても、免除選手が複数人いる場合、実際に予選会に出場した選手の中ではより上位に入る必要があります。

1番左から、免除となる大会、シニア/ジュニア、氏名、免除扱いとなる理由の国際大会が記載されています。例えば、【東日本 Sr渡辺倫果 GP USA】と記載がありますが、東日本選手権について、シニアの渡辺倫果はグランプリシリーズ アメリカ大会に出場するため免除となっています。

予選通過者数

ブロック大会(第1予選)から東日本・西日本選手権(第2予選)へ、東日本・西日本選手権(第2予選)から全日本選手権へ進出する出場枠数が記載されています。例えば、シニア女子において、中部ブロックからは上位11人が西日本選手権に出場できます。

枠内

枠内では、予選通過者数における免除選手の人数を表しています。

例えば、東日本選手権のシニア男子では「9人(枠内4人)、1人シード」と記載があります。これは、東日本選手権から全日本選手権への通過枠は9人分あり、その9人の中に4人免除選手(三浦佳生、吉岡希、島田高志郎、佐藤駿)がいるということです。加えて、東日本選手権からの通過枠9人とは別に、1人シード選手(鍵山優真)がいます。そのため、東日本選手権に割り振られた9人から、免除選手4人を除く東日本選手権上位5人が全日本選手権に進出します。

前年枠数

前年の出場枠を示しています。本年の全日本選手権の出場枠には影響がないため、そこまで見る必要はありません。

前年成績

前年の「全日本選手権」の成績のことです。「前年成績」の下に参照となる順位が記されており、シニア男女であれば、「Top10」と記載がありますので、前年の全日本選手権上位10位以内の選手が、東日本・西日本のいずれのブロックに属しているのかをカウントして示しています。ここでカウントした数が、後述する出場枠数の計算方法に影響します。

ただし、ここで前年の全日本選手権上位10位以内として対象になる選手に、前年全日本選手権時のシード選手、ジュニアからの推薦出場選手は含みません。

予選通過枠+シード

予選通過枠数シード選手の枠数が記載されています。ここでは免除選手の記載はありません。+1~3と記載されているのはシード選手です。

計算方法

Eに東日本の「前年成績」の数、Wに西日本の「前年成績」の数を入れます。Eが含まれている箇所で計算した結果が東日本選手権からの予選通過枠、Wが含まれている箇所で計算した結果が西日本選手権からの予選通過枠となります。推薦はジュニアからの推薦出場枠、シードは前年全日本選手権で3位以内に入ったシード選手です。

なお、東西日本の場合は、Bに「前年成績」の数を入れて計算することになります。

まとめ

多くの選手(19人)は、各地域のブロック大会(第1予選)を経て、東日本・西日本選手権(第2予選)に進み、最終的に全日本選手権へと進出します。さらに、シード選手(3人)やジュニアからの推薦枠(8人)によって出場する選手もいます。

全日本選手権は、選手たちにとって自らのキャリアの集大成として厳しい予選を勝ち抜いた夢の舞台であり、その後の世界大会への最終選考会という勝負の場であり、次世代を担う若手選手にとっては初めての大舞台となります。また、この大会での成績は翌年度の各地域への配分枠にも影響します。つまり、全日本選手権は単に個人の目標だけでなく、次の年の出場枠を確保するための重要な大会でもあり、多くの要素が絡んだ非常に重みのある大会です。

本記事を参考に、各予選大会から全日本選手権に至るまでの選手たちの演技を応援し、フィギュアスケート観戦をさらに充実させましょう!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ただのフィギュアスケートファン。フィギュアスケート現地観戦し始めて10年前後。現在も日本国内の大会・アイスショーに出没しています。
このブログでは現地観戦の感想、日々感じたことをのんびり書いています。

目次